「私があなたの望みをすべて叶えましょう」
とろけるような極上の微笑みを浮かべる女は、例えるなら天使だろう。
そしてその手には、天使を名乗るに相応しい全てを叶える万能の神器があった。
幻惑か、魔法か。女の言葉は現実のものになる。
花を咲かせよと唱えれば荒れ果てた地を花が埋め尽くし、雨を降らせよと唱えれば何千年も雨を見ることがなかった国に恵みをもたらす。愛を捧げよと唱えればいがみ合っていた人々が手を取り合い歌う。
さあ、あなたの望みはなにか。なにがほしいか。そう問う女のくちびるに、彼女の赤い舌が這う。
その姿はまさしく恐れを知らない悪魔だった。
「私があなたの枷となるものをすべて壊しましょう」
血と泥と汗で濁った青を持つ女は、例えるなら悪魔だろう。
闘争心に満ちた身で抱くのは、悪魔を名乗るに相応しい全てを破壊する剣だった。
彼女の立つ地は地獄となり、惨憺たる光景が広がる。
緑も花も、子供も大人も、壁も土地も、何もかもを踏みにじる。全てを屠るその姿には愛も慈悲も憎しみも苦しみもない。
そう、彼女はひたすらに平等だった。
さあ、あなたの望みはなにか。なにがほしいか。そう問う女の青が、淡く輝く。
その姿はまさしく、穢れを知らない天使だった。
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