大事な3文字 (1/2)
9月上旬。
長いようで短かった夏休みが明け、新学期が始まった。外から聞こえる蝉の鳴き声はまだまだ生命力が溢れており、ジリジリとけたたましい。それはまるで夏はまだ終わっていないとヤツらに言い聞かされているかのようだった。
夏休み後、間もなくやってきた"とあるイベント"に向けて烏野高校の生徒、職員一同は力を入れていた。"とあるイベント"というのは、本日現在進行形で行われている文化祭である。学校内は、校外からやって来た人達の群れでごった返ししていた。外の中庭からは吹奏楽部が演奏をしており、今流行りの曲のメロディーが聞こえてくる。そんな中、俺たち1年3組のクラス出し物はパンケーキをメインに扱った、何処にでもありがちな喫茶店だった。午前中、俺はクラスの方のシフトが入っている為、オーダーのパンケーキやジュースなどを不慣れながらも各テーブルに運んでいると、スラックスのポケットに入れていたスマホが震えた。
裏に戻った後すぐにスマホを開いてみると、それは夏芽からのメッセージだった。見に行くと約束していた軽音部のライブがもうすぐ始まるとのこと。時間も迫ってきているので、着けていたエプロンを外し、近くにいたクラスメイトの男子にその旨を伝えると、そいつは含み笑いで「頑張れよー!」と肩を叩いてきた。
(……一体何をだ?)
クラスメイトのその言葉に疑問を思いつつも、俺はライブが終わった後に夏芽と昼飯を食べる為に、喫茶店のサイドメニューにあった焼きそばを二人分買い、その袋を手に軽音部のライブが行われる第二体育館へと足を運んだ。
「……バレーしてえな」
思わずそんなことを思ってしまった。
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第二体育館に行くと、そこはいつも部活で使っている体育館とは違うものがあった。電灯が落とされていて、上のカーテンも閉めきられている。明かりと言う明かりはステージ照明が点いているくらいなので足場はあまり良くない。ステージの下には既に沢山の人が集まっていて、曲に合わせて頭や手などを振ったり、身体を跳ねたり、声を上げて共に歌ったりしている。それはアップテンポの曲になるにつれてだった。正直、俺にとっては初めて味わう空間で、少し戸惑いがあった。でも、確かに言えることがあった。
「みんな1つになってるんだな、」
赤の他人同士のはずなのだが、何とも言えない一体感がそこにはあった。それは素人である俺から見ても分かることだ。
ライブもいよいよ終盤を迎え、ラストに出てきたバンドには俺の待ち構えていた夏芽がいた。アンプにシールドと言われるコードを差し、もう片方にはエレキギターへと繋いでは何やら足元にある黒い機材を踏んで操作をしながら音の調整をしていた。あれは確か、"エフェクター"ってやつか。そいつを踏むとギターの音色が変化する優れものだとか。前に夏芽が楽しそうに話していた気がする。
準備が終わり、バンドメンバーはお互いアイコンタクトを取り、ボーカルの人が軽くバンドメンバーを紹介をし、挨拶を済ませていた。
「それでは聴いてください、」
ドラムセットに座る男子生徒がスティックで4つカウントを取り、一斉にかき鳴らす。
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