髭切の初恋物語

・「困ったことに、どうやら僕は君のことが好きになってしまったようなんだけど、どうすればいいと思う?」と笑う髭切と「髭切さんが私のことを好きだと?」と驚く恋愛ごとに疎い系の主の話
・表向きにはゆっくりとことが進んでいるように見えていたが、実際は髭切の手によってすべて『思ったとおりにしかならない』ようにひそかに道や退路を塞がれていた話

・こんのすけに

「実はその、髭切に告白をされてしまったのだけれど」
「おや、そうだったのですか」
「どうすればいいと思う?」
「主様の思う通りにすれば宜しいかと」
「エッ、宜しいの?」

 随分とあっさりした様子で承諾したこんのすけに、なぜか審神者の方が狼狽えてしまう。不安げに指を弄りながら

「その、よく聞くけど。神隠しとか」

と口ごもりながら尋ねてみるも

「恋仲になることが必ずしも神隠しに繋がるわけではございませぬ。たしかに新人研修などで神隠しについてはしつこく注意をされるとお聞きしておりますが、本来神隠しとは謀反にも値する行い。わざわざ謀反を犯す刀剣様は滅多におられませぬ。あまり心配なさらないでください」
「そうなんだ……」

思っていたよりも刀剣男士と審神者の恋愛に寛容な政府に、私は拍子抜けする。

「むしろ、こんのすけは賛成でございます!」
「ええっ」
「髭切殿はしっかりしておられる方なので、ぼんやりしている主様にはピッタリかと」
「髭切も結構ぼんやりしている方だと思うんだけど」
「ますますお似合いでございます」

あ、さてはこの狐め、適当に言っているな?あまりに好感触なこんのすけの勢いに、かえって審神者は不安が募る。なんでこんなに?まさか政府、刀剣男士と審神者が恋仲になることに政府側にもメリットでもあるのだろうか。そんな邪推をしてしまうほどに、こんのすけはこの話に乗り気だった。

「主様は、少しさっぱりしておられるところが強いので、こんのすけは心配しているのです」

「おや、主。どこに行くんだい?」
「こら、君はほんとうに手の掛かる子だねぇ」
「ありゃ」