「アリア、おぬしの言う通りじゃった。」
私とダンブルドアを挟む机の上には、破壊された髪飾りが転がってた。
医務室でのあの日を境に、私は全てを彼に話した。前世についてはぼやかしたけれど、知りうる限りの情報を開示したのだ。彼の最期も、すべて。
「初めからすべて信じていただけるなんて、思ってませんでしたから。」
出された紅茶をすすりながらお茶菓子へ手を伸ばす。寧ろ完全に信用する人間のほうがどうかしていると思うので、彼の行動は至って正常だと思う。
「残りの分霊箱は、あと四つです。」
「現在グリンゴッツにあるレストレンジ家の金庫を確認しておる。」
「恐らく、ヘルガ・ハッフルパフのカップが預けられているはずです。」
「うむ。」
「サラザール・スリザリンのロケット、ゴーント家に伝わる金の指輪もヴォルデモートは分霊箱にしました。」
「そちらはわしの方で確認しておこう。…じゃが、」
将来的にヴォルデモートは五つ分霊箱を作るはずだが、現段階ではまだ四つ。ナギニが分霊箱となるには、まだ時間がある。隠し場所が分かっているものは、早急に破壊する必要があった。
「…トム・リドルの日記」
「そうじゃ。」
行く行くはマルフォイ家へ預けられる日記が、現在どこにあるかが分からない。ヴォルデモート自身が所持している可能性も、既にルシウス先輩の元へ預けられている可能性も捨てきれない。
「…日記は、私が必ず回収します。」
「任せよう。おぬしを信じておるよ、アリア」
慈しむような視線に居心地が悪くなる。私は私の目的の為に、彼さえ利用しようとしているのに。
「…あなたは愚かだわ、」
砂糖とミルクをたっぷり溶かしたはずの紅茶が、苦く感じた。なにも言い返さず微笑みを携える彼になんと言えばこの胸の内が伝わるものか。
「みな、アリア自身を信じ、案じておる。おぬしが兄であるセブルスを守りたいと思う気持ちは、逆もまた然りじゃ。」
「…そのことだけは忘れてはならぬぞ。」
幼子に諭すかのような言葉は、私よりずっとずっと多くを経験した者からの叱責であり、また、愛なのだろう。
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