「ほらアリア、お肉もしっかり食べなさい。」
「いえ、あの……」
「野菜もしっかり摂るんだ。」
こんもりと食事が盛られたお皿には肉、野菜、パンがバランスよく並んでいる。倒れてからというものの、ルシウス先輩は甲斐甲斐しく私の世話を焼いた。
「セブ、助けて…」
「大体アリアは食が細すぎる。もっと食べないとダメだ」
「セブまで……」
ぐいぐいとお皿を押し付けてくる彼に、私の味方はいないと諦める。食べきるまでは解放してくれなさそうだ。
「いつもスープと少しのパンだけだろう?そんなことでは…」
ルシウス先輩の小言を聞きながら食べる朝食は、より一層満腹感を増長させた。
「アリア!」
ようやくお腹いっぱいの朝食が消化された頃、リリーが私を呼び止めた。寮のこともあり人前ではあまり話さないようにお互い配慮しているけれど、こんな人の多い廊下で引き留めるなんて珍しい。
「どうしたの?」
「どうしたのじゃないわ!倒れたんですって?しかも丸一日入院なんて!」
「ただの貧血だから…そんなに心配しなくても、」
「大体アリアはしっかりご飯を食べないから…!」
似たような小言を言われるのは、これで四回目になる。同室の友人、セブルス、ルシウス先輩の次はリリー。
思わず天を仰ぎ溜息を洩らすと、目ざとく彼女は畳みかけてきた。
「アリア!ちゃんと聞いているの!?」
「ごめんね、反省してます。」
困ったように眉根を寄せれば、渋々引き下がってくれることを私は知っている。
「まったくもう…聞いたときはひやりとしたわ。」
「セブにも怒られちゃったのよね…気を付けます。」
「当然よ!これ、作ってもらったから食べてちょうだいね。」
「え、待ってリリー!」
やけに大きなバスケットを私へ押し付けると、可憐な笑みを浮かべて手を振り去ってしまった。
ちらりと中を覗けば、バスケットいっぱいのサンドウィッチが詰め込まれている。
「……勘弁して。」
食べすぎとは別の理由でお腹が痛くなってきた気がする。
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