ホグワーツへ向かう特急列車のコンパートメント。真新しい教科書と睨めっこをしているリリーをちらりと見て、邪魔をしないよう静かに席を立った。
「セブ、ちょっと気分転換に歩いてくるわね」
「あぁ。」
ホグワーツ生でごった返す通路をふらふらと歩く。あと数十分もすればホグワーツへ到着すると思うと少しだけ緊張してしまう。
遂に物語が動き始めるのだ。
窓から差し込む陽射しが眩しく感じて、思わず瞳を閉じた。
「あなた達に指図される筋合いはないわ!出てってちょうだい!」
「いずれ君にも、僕の言うことが正しいと理解できる日がくるさ。」
騒がしい声に思わず眉間に皴が寄る。何かあったのかしら?二人の少年がコンパートメントから出てくるところに遭遇し、思わず立ち止まった。
くしゃくしゃの髪に眼鏡、そのレンズ越しに榛色の瞳と視線が合った瞬間言い表しようのない嫌悪感が全身を覆った。間違いない。彼は、
「やぁ、君もあの陰湿な根暗野郎と知り合いかい?」
侮蔑の滲む薄ら笑いを浮かべ、こちらへと手を伸ばす。身体の温度が一気に冷え切った。
反射的に身を引いて、込み上げる気持ち悪さに思わず両手で自分を抱き締めた。
「私に近づかないで!」
目を丸くして、差し出した手をそのままに固まっている。まだ幼い少年の見た目をしていても、彼を虐めていた人物に変わりはない。
ジェームズ・ポッター
入学初日から会うなんて、一体どんな巡り合わせなのだろう。
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