空き時間を見つけては図書館へ通うことが癖になっていたため、今でも授業以外の時間はほぼ図書館にいることが多い。久しぶりにセブルスと向かい合って本を読んでいる。なにやら最近忙しそうにしていたので嬉しい。一時はポッターとの接触が非常に気に食わなかったらしくどこへ行くにも干渉されたが、今は少なくなった。(それでもやっぱり過保護な気がする)


「ねぇ、セブちょっといい?」


手元にある本から一瞬視線を外しちらりと見た後、すぐに文字の羅列を追い始めてしまった。読書の時間を邪魔されると機嫌が悪くなることが多いけれど、いつも耳は傾けてくれる。これは話し始めてもいい合図だ。


「クリスマスのダンスパーティー、セブは誰と行くか決まっているの?」

「……ッ!」


勢いよく顔を上げた彼にこちらが逆に驚いてしまった。言いにくそうな雰囲気がひしひしと伝わってくる。不味いことを聞いただろうか。手元にあった本を閉じて向かい直せば、セブルスは観念したように口を開き始めた。


「あー、その…リリーと一緒に参加することなった。」

「え、」


聞くところによると、最近忙しそうにしていたのはダンスの練習をこっそりしていたからだという。そもそもいつの間にリリーを誘ったのか、一言も私にはなかったのに、と脳内がぐるぐると回り始める。除け者にされたようで拗ねてしまいそうになったが、嬉しそうなセブルスを見て閉口する。無粋なことはいうべきではない。


「そう。…セブから誘ったの?」

「話の流れでお互いパートナーが決まっていないことがわかったからな。…別にやましい気持ちなどないぞ。」

「へーぇ…」

「真面目に聞け。」


二人に進展があったことが嬉しくて、先ほどのもやもやした気持ちなどすぐに消えてしまった。私の緩む頬を見て怪訝に表情を険しくしている彼を見て、思わずはっとする。リリーはポッターのことが好きだったのでは?


「セブ、私行くところがあったんだったわ。先に寮へ帰っててくれる?」

「ついて行く。どこまで行くんだ?」

「内緒。この本、返却お願いしてもいい?よろしくね。」


分厚い本をセブルスのほうへ押しやると、荷物をまとめて立ち上がる。何か言いたげな雰囲気を醸し出しているが追ってこないのを良いことに小走りで目的の場所へと向かう。リリーに会って話を聞きたい。今どこにいるのだろうか。優秀で友人の多い彼女のことだから寮で談笑しているかもしれないし先生の手伝いに呼ばれているかもしれない。ポッター達が持っている忍びの地図が今は羨ましい限りだ。

心当たりを探して回ったが彼女は何処にも居らず、擦れ違ってしまっていた。渡り廊下から見える空は紅く染まっていて、手すりに両手を乗せ頬杖をついてぼーっと眺める。焦らなくてもまだパーティーまで数週間ある。リリーの気持ちは分からないけれど、セブルスが幸せならそれでいいかという気持ちになってきた。


「…人の心配してる場合じゃないのよね。」


セブルスとリリーのことは本人たちの問題だ、なるようにしかならない。とりあえず見守ることを決めたのはいいけれど、自分はどうだろう。禄に友人も居らず、男友達なんて以ての外だ。去年まで参加すらしていないから他の生徒の眼中にすら入っていないのではなかろうか。重い溜息を腹の底から吐き出す。もう行かなくてもいいのでは?と思い始めたがナンシー達が騒ぎ立てる気がしなくもない。


「随分と浮かない顔をしているね?レディ」

「え…、」


風に吹かれ乱れた髪をするりと耳にかけられる。驚きで目を丸くする私を見て微笑んだのを雰囲気で感じ、一際強い風が私たちの間を通り抜けていった。




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