ペンフレンド


「しょうがねえよ。見間違いかもしんねえし、それにあの店分かりづれえトコにあっから公民館から出て迷っただけかもしんない。オレ、大学のスタッフの兄ちゃん姉ちゃんたちに、この事話してくるわ!トクはサナとミクと一緒に海の家へ行ってろ!!!」

普段あまりみせないいたずらっ子、ヤスのリーダーシップな姿に好感を持ちつつ私達は陸の後を追った。

「陸くん、本当に海の家へ行ったのかな」
「あのじっちゃんなら知ってんじゃねえの!?」

海の家へ行くと、じっちゃんが1人でギターを弾いていた。その横には綺麗な虹色の貝殻がひとつ、ぽつんと置いてあった。

「じっちゃん!!!」

「もうじき来る頃だと思っておったよ。陸くんは、来ておらんよ」
「じっちゃん私の弟の名前…」
「お前さん方のご両親から聞いたことがあっての。そうじゃこの道を真っすぐ行った所にさびれた古い商店街があるのを知っとるか?陸は呼ばれたんじゃ。ワシには分かる。妻を失って五年くらい経った頃じゃったかの。…そこに、妻のかわいがっていた猫が横切っておったよ。見慣れた顔もいくらか見かけた。陸くんには、そういう場所が必要なんじゃないのかねえ」
「そういう場所…?でも、陸は養護学校でも友達がいなくて」
「好きだった子はおらんのか?」
「あ!そういえば、ユリちゃんていう女の子に手紙交換してた。養護学校の子じゃなくて、ペンフレンドの」

「ペンフレンド?」
「手紙を通じて知り合った友達のことだよ。もしかしたら、ユリちゃんに会いに行ったのかもしれない!!!そういえばユリちゃん、此処らへんに住んでるって言ってたから」
「そんな偶然ってある?」
「公民館でも見なかったぜ、その子」



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