Sub rose

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一旦家に帰り集合した後、二人と一緒に甘い物を堪能した私はルンルンで帰っていた。
特別メニューなだけはあり、すごく美味しかった。
食レポ?そんなもん知らん、うまいもんはうまいんだからそれでいいやろ!!ってテレビの人が言ってた!!
甘いもので幸せの頂点にいる私は、ポストを確認し玄関をくぐる。

「ただいま!!」

声をかけたが帰ってくる声はない。
あれ???兄はもう帰ってきているはずだけど、と思いながら私の部屋へ向かう。
部屋の明かりをつけたあと、
さて、あれをどうしよう≠ニ引き出しを開けて異変に気づいた。

イッタイ、アレハドコニイッタ??

私は確かに朝、鍵がかけられる引き出しに入れたはずなのに見つからない。
部屋中探し回ったがどこにもなかった。

…奴だ……あのワカメがやらかしたんだ。
そう結論に至った瞬間、玄関が開く音がした。
帰った≠ニいう一言の後、徐々に足音が近くなり二階に上がってくる。
その日私は思い出した…奴はとんでもないことを時たまやらかすという恐怖を…やらねばやられるっ…!!!
部屋の脇に置いてあった兄の友人からのプレゼントである木刀を握り、構えをとる。
ドンっ!!!とドアを開き、入ってきた兄が喋ったその言葉ですでに遅かったことを理解した。

「よろこべ、妹!!!
おまえが書いていた小説の出版が決まったぞ!!!」

「てめぇ…なにしてくれてんじゃっ!!このワカメ野郎がぁぁぁぁああぁぁあぁあ!!!」


なお、
渾身の一発は簡単に簡単に受け止められた事をここに記しておく。


さて、不貞腐れながらギャーギャー言い合い取り消してもらおうと思ったが兄に勝てるはずなんてない。
しかも、私のノートまでご丁寧に回収されてしまった…。
どうしてだ、どうしてワカメの中でもこんなに違う…、銀髪弟大好きワカメもロリコン疑惑紫ワカメもいいやつだったのに…黒ワカメ!!!悪魔!!鬼!!!!!!!!


…鬼???またもや友人と同じように引っ掛かりを覚えたがどうしても思い出せない。
一体なんなんだ…私がなにをしたっていうんだ…!!
前世そんな悪いことしてないのに!!!推しに貢いで生きてただけなのに!!!

兄は自分の部屋に入ったようでリビングには誰もいない。
静かな家に、不満を足音にぶつけながら一階に降りていくと、途中で兄に「うるさい!!!」と言われたが知らん!

少しでも気持ちを落ち着かせようと紅茶を入れ、フカフカのソファにぽすっ!と沈み込み気を紛らわせようとした。
テレビの電源をつけると子供のゴールデンタイムだったようで妖怪のアニメがやっている。
今はこれが人気なのか、と観ていると六つ目の妖怪と目があった。

…唐突だった、あれほどモヤモヤしていた引っ掛かりがスルッと無くなる。
そう、そうだ。
そうだよ、友人≠熈兄≠熨S部、鬼滅の刃≠カゃん!!!
というか、なんで私が妹なんだ????!!

「本当に意味わかんない!!!ありえないんですけど?!」

そう叫んだと同時に勢いよく立ち上がった。
その勢いは私の手に持っていたティーカップに伝わり、紅茶を勢いよくこぼす。こぼれた紅茶は私の腕や手にふりかかった。
ご存知だろうか?ティーパックで紅茶を作る際のお湯の適温は95°以上である。それ以下の温度だと旨味が抽出されないとかなんやら…
まあ…要するに、入れたばっかりの紅茶はめっちゃ熱い。
良い子のみんなはぜひ気をつけて欲しい。

うわ…やらかした…メッサ熱い…
とりあえず、この高そうなソファとかにかかってるし…タオルいるよな…とぼんやりと考え、動き出そうとした時だった。
ドタドタと階段はを降りる音が聞こえてきたなぁと思ったところに、ドンっとリビングの扉が開く。
勢いよく入ってきた兄は怒鳴ろうとしたっぽいが紅茶滴らせながら立ち尽くす私を見てチベットスナギツネになった。あれ、めっちゃいい顔してるよね…
チベットの呪いが解けた兄は私の手を掴むと流し台まで引っ張っていく。流水で私の腕を冷やし、バカなのか?アホなのかとネチネチネチネチ呟いている。
おまえ、どこぞの蛇柱だよ、どこの世界線の伊黒小芭内だよ。鬼舞辻無惨のくせに要素詰め込みすぎなんだよ!!
そんな心の声なんて届くはずがないが、兄は私の顔を見てでっかいため息をつく。
私をバカにしている顔してるぞてめぇ、喧嘩なら買うからな?!絶対勝てないけど!!!!!


「…で、ほかにかかった場所はないのか??」

「…腕にかかっただけだから大丈夫そう」


兄は用心深く私をみる。
別にお湯がかかったくらいじゃ現代っ子は死なない。
…けっ…ど、私さっきこれ≠ノ対して殴りかかった気がする…
今日が命日だったかな???

心がさけb…ではなく荒海状態だったが、前世は平成&令和の世をオタクとして生き抜いたのである。
世間からオタクに対しての偏見が激しいころは、趣味を言うのも苦労したものだ…。
偏見が激しいそんな社会で生きてきた私にとってかかれば、外面だけはいいと母親に言われた私に出来ぬ顔などない!!!唸れ私の顔面!!!
必殺!!笑うセールスマンみたいな顔!!!

という、その頑張りを知らずにただ、そうか…というと水を止めもう一度二階に上がっていった。
そういうところがパワハラ上司なんだぞ!!もっとなんかあるだろ?!
ひとしきり脳内で日の呼吸によって切り刻んだあともう一度心を鎮めた。
鬼滅の知識≠ェ蘇ったり振り返るとあの兄は鬼舞辻無惨≠ニは違うのではと感じる。

思い出せば、
日中に外で歩いてるし(禰豆子を食べた世界線だった場合死)、ご飯とか私の分まで作って食べてるし(人間が主な栄養源って書いてあった気がするけど、趣向品として食べれますみたいな展開だったら死)、共に成長してきたし(…月彦なるものがいたっけ…?)…。
…下弦リストラ事件を起こしてた割には優しいし(嫁と子供がいたと共にいた浅草のとき優しかったな…)
…大丈夫だろうか、いや大丈夫に違いない!!
反例が一つの命題につきたくさん上がったが、そんなことは気にしていられない。人生深く考えたら負け、いつも通りでいるのが平和であると結論付けた。

…かくして、私が書いた二次創作≠ヘ出版社へと運ばれた。この時の私は同様でどうして、出版社止まりになるだろうと安直な考えを持ったのか。
タイムマシンがあったなら即座に使って過去へとんだだろう…


…たすけてよぉおお!!!◯ラえもんんんんんんっ!!!
300円あげるからぁぁぁあぁぁああああ!!
 

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