「あれ、陽介どしたの、それ」
「あー、これ?昨日ちょっとやられた」
制服の半袖からちらりと覗いた、まだ出来たばかりのやや大きめの切傷をなまえは見つけ、わー痛そう、と呟く。
昨日のテレビの中の捜索はなかなか厳しいものだった。
フロアの長のような、周りのシャドウとは比べ物にならないほどの強いシャドウと遭遇し、昨日の俺たちは、惨敗…とまではいかないが、そこそこダメージを受けた。
だけど、なまえには心配させたくなくて、ちょっとやられた、なんて少しだけカッコつけとく。
暫く苦い顔をしながら俺の腕の生傷を見つめたなまえは、思いついた様に胸元で綺麗に結ばれた黄色いスカーフをするりと外した。
そして、外したそれを綺麗に折り畳むと俺の腕を掴み、慣れた手付きでまだ痛々しい傷口に巻き、キュッと結び付けた。
それ使っちゃう?と苦笑いしてみたが、昨日洗ったばかりだから心配しないで、と笑顔で返された。
うーん、そういう心配したわけじゃねーんだけど。
「大丈夫、今日はきっと勝てるよ」
「え…?」
負けた、なんて一言も言った覚えねーのに。
どうして、という顔をしていたのだろう、なまえは察した様に陽介のことなんでもわかるから、と言ってまた笑った。
その笑顔にドキっとする。
あぁ、こいつには敵わねーわ。
なまえは、ペルソナは使えないが俺たちのしていることを信じてくれてるし、応援してくれる。
俺がジライヤを生み出した時も、たまに負けそうになった時も、勿論テレビの中の人を救った時も。
いつも俺の話を聞いてくれて、その時欲しいアドバイスを的確にくれる。
俺の第二の相棒、何て言ってみちゃったり。
サンキュと礼を言い、俺を見つめるなまえの髪をくしゃりと撫でると彼女は嬉しそうに微笑みながら頑張って、と応援してくれた。
もうこれは、今すぐに我らがリーダーに連絡して出発だ。
「今日は絶好調だな、陽介」
「そりゃあ、昨日あんだけやられといて黙ってられないでしょーが」
「それはその黄色いスカーフの子のおかげ?」
「は!?いやそうだけど…って、何言わせんだよ!」
まだ何も言ってない、と相棒に言われて余計に顔が熱くなりそうだった。
昨日遭遇したシャドウと再戦をしたのだが、昨日の戦いが嘘だったかのように今日は大勝利を収めたのだ。
なまえが言った通りだ、今日はきっと勝てる、と。
でももしかしたら、この黄色いスカーフが俺たちを勝利に導いてくれたのかも、何て柄にもないこと思ってしまって。
「なまえのおかげ、か…」
左腕に結ばれた黄色いスカーフをそっと撫でると、まだ少しだけ傷口が痛んだが、何てことなかった。
だって今の俺には、勝利の女神がついている。
Victoria
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