結局昨日帰宅したのはとっくに真夜中を越えていたし、今日は寝不足も良いところ。
それでも、何故かその日が非常に充実した1日に思えた。
そうして私は、やっと自分の心情の変化を気に留めた。
あぁ、これが好きというものなのだろうか。
そしてこれは、私自信気付いていたかもしれないがずっと知らない振りをしていた気持ち。
しかしそれが何であるのか、まだ私の中では定かではなかった。
だがそれは定かでなくても良いのではないかと思う。
彼女とこれからゆっくり分かり合えればそれも良い。
「え…ノボリさん?まだ始発の時間じゃ…」
「えぇ、まだです、しかし貴女様に少々用事が」
始発前に車庫で立っていた私からの用事など見当も付かない、といった様子で困った顔をした後、何故か深刻な表情を彼女はした。
「昨晩、線路点検にご一緒させていただき大変充実した1日を過ごせました」
「はぁ…えぇ?あんな面倒な点検…いえ何でも」
「…わたくしは、貴女様とこうしてお会いしてお話するようになって貴女様へ抱く気持ちが何なのか、よくわからないまま過ごしてきましたが昨日それが少しだけ分かったように思います」
ナマエさまは唖然として私を見た。
彼女はもっと深刻で重要な用件だと勘違いしていたらしく、何やら全然違う事をべらべらと喋る上司に驚いているのだろう。
「ですが、わたくしにはまだ誰かを好きになるという感情が良く理解出来ておりません」
「はぁ…そう、ですか…」
「今はまだ不確かでも、わたくしは貴女様と、ナマエさまとその人を好きなるという気持ちを分かり合えればそれで良いと思っております、ですから…」
何がなんだか、と困惑の表情を浮かべるナマエさまを私が真っ直ぐ見据えると彼女はびくりと肩を揺らした。
「……どうか仲良くしてくださいまし」
「…はい?」
いろいろナマエさまに告げる言葉は考えてきた。
貴女様に好意を寄せている、としっかり伝えるつもりでいたのに、いざ出て来た言葉は余りにも情けなかった。
仲良くさせていただいてるつもりだったんですが、と複雑な顔をされるナマエさまに慌てて弁解する自分を嘲笑いたかった。
「…それは、つまりその…男女の仲とか、そんな感じですか…?」
「…わたくしはそのつもりでございます」
今の自分の顔は鏡では見たくない。
きっと目の前の彼女と同じ様な色で、彼女以上になっているから。
私の下手な精一杯の告白を理解した彼女は小さく頷いてくれた。
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