「貴方がノボリさん、ですよね?」


「はい、そうでございますが」


「ナマエが随分お世話になってるみたいで」



バトル終了後の車内で私は隣にいたヒビキさまに声を掛けられた。
アイツいつも眠たそうでしょう、とくすくすと笑うヒビキさまに私は笑えなかった。
仕方ない、ヒビキさまはナマエさまのご友人。
私なんかよりもずっと昔からナマエさまを知っているのだ。
そのくらい、知っていて当然なのに。



「なんか、ヒビキとノボリさんが話してるの、変な感じ」


「なにそれ、ナマエこそ変なの」


「だって、あたしの恋人と幼馴染みが話してるってなんか、ねぇ」


「良いじゃん、別に」



ヒビキさまと話すナマエさまはとても楽しそうで、私には出る幕もなかった。
そんな彼女達を見ていると先程生まれたもやもやは成長ばかりする。
わかってる、これが醜いものだって。
だから私は何度も彼はナマエさまのご友人だから、と自分に言い聞かせた。
それでも隣から嫌でも聞こえる彼女の楽しそうなお喋りはもやりを成長させる糧となり、阻むことは出来なかった。
そうしたら自然と顔にそれが出ていたのだろう。
勿論、他からはわかるかわからないか、というくらいだが。



「ノボリ、顔」


「…わたくしが何か?」



顔怖いよ、
隣から肘で小突かれる。
いち早く私の異変に気付いたクダリが小声でそう呟き、にたにたと笑う。
どうしてこうも人の色恋沙汰には敏感なんだろう、クダリは。
余計なお世話です、と帽子を深く被り直したがもやりとしたものが消える事はなかった。




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