ナマエさまが少しだけ早く駅のホームに入れたシングルトレインに私達2人が乗り込む。
使用ポケモン3体、道具の持ち込み可能で勝ち抜きというバトルサブウェイそのままのルールで1両目を貸切。
その約束もあってナマエさまは早くから始発を動かしてくれたんだろう。
別に始発が発車するまでの間の時間ぐらい1両目をどう使っていたって特に問題はない。



「それでは始めましょうか」


「ジョウトの整備士だからってあんまり侮らないでくださいよ」



いつもどうりのだらりとした作業着のままなのに、ナマエさまの表情はまさに真剣そのもの。
眠たそうな眼差しでもなく昨日見た瞳とも違う、見たこともない鋭い視線を向けられるとまた胸の奥の方がどく、と跳ねる。
そんな感情をぐっと抑え、私のバトル開始の声と同時に私達は各々のボールを投げた。











「イワパレス、ストーンエッジ!」


「サンダース、10万ボルト!」



ナマエさまは強かった。
きっとあの10万ボルトが当たっていなかったとしても負けていただろう。
倒れたイワパレスをボールに戻すと、まだ残った電気を体の周りでビリビリさせるサンダースは彼女に良く似た鋭い目つきをして得意気に主人の前に立ちはだかっていた。
サンダースは疎か、この辺りでは滅多に見ることがないバクフーンも、エアームドも倒す事が出来なかった。
つまり彼女には完敗した。
彼女がバトル前に言った言葉が何度も頭を過ぎる。
実は負ける筈はないと、自分はサブウェイマスターだから、と少しばかり自分の力を驕っていたようだ。
そんな根拠なんて何処にもないのに。
私としたことが情けない、と思っている頃のナマエさまは私の思いなど知らずに、しゃがみ込みサンダースの顔を両手で挟んでよしよしと撫でていた。



「びっくりしました?こう見えても嘗てはジョウトとカントーを制覇したんですよ」


「少々驚きました、ナマエさま本当にお強いですね」


「ノボリさんだってなかなか、サブウェイマスターだけあって手強かったですよ」



あまり笑わないナマエさまが不意に、笑った。
まただ、また胸の奥の方が跳ねた。
でも今度は1度だけでは止まらなかった。
どくどくとそれは早まるばかり。
強い方は好みだ、だが今回ばかりはそういうものでは無さそうな気がした。




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