朝食を食べ、巨人の寝床でトレーニングし、ナマエが持ってきてくれるお昼ご飯をポケモン達と食べる。
ナマエとランプラーが帰るのを見送り、トレーニングを再開。
日が落ちたら村へ帰り、夕食を食べて技構成や明日のトレーニング内容を考えて1日が終わる。
それが僕のフリーズ村での、最近の過ごし方になってきた。
ナマエもポケモンバトルに興味を持ってくれているのか、夕食の後は僕の持ってきた本や雑誌を読んでは、僕にわからないことを尋ねてくれる。
人にものを教えることは自分の勉強になる、というのは案外事実のようだ。



「ランプラーには特性が2つあるんだ、多分君のランプラーはほのおのからだかな」


「カブさんにはわかるの?」


「僕のポケモン達より体温が高いようだし、この前ウインディの吹いた炎を熱そうに避けていたんだ」



もらいびの特性ならば、ウインディの炎だろうがキュウコンの炎だろうが、なんともないはずだから。
僕の推測を話してあげると、ナマエはすごい、と目を輝かせてこちらを見た。
伊達に、他所の地方からほのおタイプエキスパートとして呼ばれてはいない。
ランプラーについて書かれているページを開いて渡してあげると、ナマエは真剣に読み始める。
ランプラーも隣にやってきて彼女の手元の物をじっと見つめていた。
そんな二人を見ていたらふと、気付く。
そうか、弱点のタイプがタイプなだけに、接触技を使って攻撃してくる人が少ないと勝手に思っていたけれど、アクアジェットやたきのぼりなら話は別だ。
なにかに閃いた僕は、本のページを急いでめくり、持ってきたノートにペンを走らせる。
カチカチと時間を刻む秒針の音と、暖房器具が部屋を暖める音が、しばらく家の中で響いていた。





「…ナマエ?」



ひと息付こうと顔をあげると、ナマエは本を開いたまま寝息を立てていた。
さっきまでふわふわと浮いていたランプラーも、彼女の膝の上で腕を丸めて眠っている。
部屋に掛かる時計を見れば、あと1時間もしないうちに日付が変わるところだ。
あまりにも気持ち良さそうに眠る彼女達を起こすのも気が引けて、部屋に置いてあった大きめのブランケットを持ってきた。
両手で広げてナマエに近付き、起こさないようそっと肩から掛ける。
ダメだとわかっていても、普段よりずっと近い距離にある彼女の顔から、目が離せなかった。
長く整った睫毛、白くて柔らかそうな頬。
そして、艷やかな赤い唇。
嫌でも目に入って、可笑しくなりそうだ。
眠る彼女の後から覆い被さる様にして、ゆっくり顔を近付ける。
もし、このまま近付いたら、どうなる?



(なに、やって、るんだ…)



彼女の頬に、触れるか触れないかぐらいのところで、正気に返った。
僕は、きっと疲れているんだろう。
時計の秒針と暖房器具の音が聞こえなくなるくらい、僕の心臓は煩かった。




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