彼女が目を覚ましたのは2日後だった。
村長さんやドクターの話によると、あまり良くない状態のようだ。
ところが、目を覚ました彼女は、さも当然のように出かける支度をしようとした。
みんな待ってるから、と弱々しく笑ったのだ。
そんな彼女をベッドに戻し、僕が出来ることは何でもした。
きのみの採取、にんじんの世話、豊穣の王の像の掃除、村のポケモン達の世話。
彼女が日々やっていたことを、見様見真似でこなした。
もちろん、ウインディ達も一生懸命手伝ってくれた。
今日も起き上がろうとするナマエを止めて布団をかけ直してあげると、申し訳なさそうに布団を目元まで引っ張っていた。
ランプラーにも彼女の様子を見守ってもらうよう約束すると、ランプラーは任せてと言わんばかりに、力強く腕を振り上下に揺れていた。
もちろん、トレーニングの方も休むわけにはいかない。
ジムリーダーに戻ると、メジャークラスへと戻ると、あの日僕は約束した。
それから、トレーニングを欠かしたことはない。
何かあったときのため、トレーニングでは氷点雪原までしか行かないが、それでも休むことはなかった。
大変じゃないといえば嘘にはなるが、今も苦しむ彼女に比べればどうってことはなかった。



「そろそろ帰ろう、ナマエが心配だからね」



そういってウインディ達を撫でてあげる。
急げと言わんばかりに先を行くキュウコンは、僕のポケモン達の中で一番ナマエを心配していた。
続いてウインディ、マルヤクデ、僕も家路を急ぐ。
空を見上げれば、嫌味なほどに無数の星が輝いていた。



「…ただいま」



その言葉に返事をする人は、誰もいない。
ナマエの眠る部屋の扉をそっと開けると、そこはやけに静かだった。
ベッドの側まで行くと、見守っていたはずのランプラーも流石に疲れたのか、彼女の枕元で丸くなって眠っていた。
眠る彼女の顔は相変わらず青白く、瞼一つ動かすこともなく、ベッドに横たわっている。



「今日はにんじんに水をやったよ、ドラパルトがあまごいをしたんだ、するとすぐに雨が降ってきたよ」


「それから、今日のマルヤクデのほのおのムチは凄くキレが良くてね、ニドキングもあっという間に倒しちゃったよ」



静かに眠るナマエの頬に、ほんの少しだけ触れた。
まだ僅かな暖かさを感じ、安堵の溜め息を吐く。
しかし、今日の出来事をナマエに報告したところでただただ独り言になるだけだった。




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