”カブ選手のウインディ!ここで戦闘不能だー!さぁ、手持ちのポケモンは両者共に1体となりました!”


「ありがとう、ウインディ」



ゆっくり休んでくれ、とぐったりとしたウインディをボールに戻す。
そっとハイパーボールを撫でると、ウインディが中で申し訳なさそうにしているのがわかった。
違うよ、君はよく頑張ってくれたんだ。
後は僕と、マルヤクデに任せてくれればいい。



「いくよ!マルヤクデ!」


”カブ選手最後のポケモンは!あの!マルヤクデだー!”


「マルヤクデ!燃え盛れ!キョダイマックスで姿も変えろ!」



巨大化した手元のボールに、気合を入れて後方に投げ飛ばす。
スタジアムの熱気は、観客達の声援により更に上昇した。
75mを超える巨体が姿を現せば、スタジアムはじしんのごとく揺れ、咆えればばくおんぱを放ったかのように空気がビリビリと振動する。
相手のポケモンは、ウインディが半分までダメージを与えてくれた。
ダイマックスも、あと1ターンで元の姿に戻るはずだ。
随分と大きくなったマルヤクデを見上げると、彼は僕の方を向いて力強く頷く。
そうだね、君もそれが良いと思うかい。



「マルヤクデ!キョダイヒャッカだ!」



天高く僕が指を指せば、マルヤクデがうねり、発熱した巨体から大量の炎を吹き出す。
迎え撃てと相手のトレーナーが指示したが、僕達の最大限の力で放つ炎で迎撃の隙など与えさせない。
地響きと共に大爆発を起こすと、マルヤクデの発熱器官によく似た模様が相手の足元に幾つも浮かび上がる。
炎が円を描きながら消え去る頃には、相手のポケモンは煙に包まれながら元の姿に戻り、ぐったりと地面に倒れた。



”勝ったのは!カブ選手のマルヤクデだー!”


”燃える男の炎は再び燃え盛る!カブ選手!エンジンシティジムリーダーに返り咲きました!”



元の姿に戻るマルヤクデにお疲れさま、と言うとにっこりと笑ってボールに戻っていった。
マルヤクデのボールは嬉しそうに揺れる。
キュウコンとウインディのボールも、なんだか嬉しそうに見えた。
僕もね、嬉しいよ。
だって、あの時の約束をやっと果たせたから。
眩しいくらいに晴れ渡る空を見上げると、自然と涙が頬を伝った。



「…ジムリーダーになったよ、ナマエ」



見届けてくれたかい、君の願いは叶ったよ。





左様なら、おやすみ





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