しばらくして、カブさんは私達の手伝いをしてくれるようになった。
一緒に巨人の寝床まできのみを取りに行ったり、いにしえの墓地のにんじんの様子を見に行ったり。
今日は、村で王さまの像の掃除をしてくれている。
勿論、カブさんのポケモン達も一緒だ。
彼は、ウインディとキュウコンとマルヤクデを連れていた。
嬉しいことに私のランプラーとは、みんなすぐに仲良くなれたようだ。
特に、ランプラーとウインディは毎日のように一緒に遊んでいるらしい。
それとカブさんは、キュウコンは君のこと気に入っているみたい、と言っていた。
確か、前に頼まれてキュウコンのブラッシングをしてあげた覚えはある。
それ以来だろうか、よく私の側に来てくれてたり、手伝ったりしてくれている気がする。
現に今日もこうして、きのみの収穫を手伝ってくれた。
私のブラッシングは、お気に召していただけたのだろうか。
「わっ…!」
「こら、ウインディ!」
巨人の寝床から帰ってくると、ウインディが飛び掛かってきた。
びっくりして、持っていたかごを落とすと、せっかくキュウコンが集めてくれたきのみが、冷たい雪の上に散らばってしまった。
「ウインディは今日も元気だね」
「君のランプラーとずっと遊んでいるよ」
友達が増えて嬉しいんだよね、とウインディを優しく撫でる。
その横でランプラーは、そうだと言わんばかりに左右に揺れた。
掃除手伝うって言ったのにな、なんて小言を言いながら、カブさんは散らばったきのみを片付けようとしてくれた。
あんまり遠くまで行っちゃダメだよ、とランプラーとウインディに注意をしているカブさんを見ていると、なんだか楽しそうで自然と笑顔になった。
すると、私より大きくて骨ばった暖かい手が、私の冷たい手を包む。
驚いて前を見れば、カブさんは私よりももっとびっくりしていたようで、慌てて手を引っ込めた。
「あの、ごめん…」
「…大丈夫、です」
こんな、ドラマか漫画でしかないような展開、まさか今になって経験するとは思わなかった。
ちょっと恥ずかしくて、黙り込んだままきのみを拾い上げる。
かごのきのみが元通りになると、お礼を言ってその場からすぐに立ち去った。
なるべく、平常心を保つようにそれなりに努力はしたが、どんな顔をしてただろう。
「…素敵な人だな」
家の中に入れば、本音が漏れた。
まぁ、今まで来てくれたお客さんの中にも、かっこいい人とか、優しい人はそれなりにいた。
けれどカブさんは、そういう人達とはまた違うような気がした。
でも、カブさんは、民宿のお客さん。
お客さんにそんな個人的な想いを持つなんて、どうかしてる。
「しっかりしなさい、ナマエ」
玄関先でずるずると、しゃがみ込む。
これが、持病のせいではないことくらい、容易にわかった。
外は寒かったはずなのに、顔はいつもよりも熱い気がした。
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