カブさんから、綺麗なお守りをもらった。
それから毎日、教えてもらった通りにそのお守りに願い事をした。
あれから6日経ったらしい。
昔から身体は丈夫じゃなかったし、こうなることもそう遠い未来じゃないことは自分でわかっていた。



「ランプラー、随分待たせちゃったね」



そう言うと、カンムリ神殿に出かけたカブさんに留守番を頼まれたランプラーは、ぶんぶんと顔を横に振った。
知ってるよ、君は私の余命が長くないことをわかっていて、あの日いにしえの墓地から家まで付いてきていたこと。
お腹を空かした君にくろいにんじんをあげたら、すごい勢いで5本も食べちゃったときは流石に驚いたな。
魂が抜けたら吸い取って燃やすんだよ、と言えばランプラーは嫌だと言わんばかりに、顔を横に振り続ける。
多分、私がこの世を彷徨ってしまうから、それがどうしても嫌なんだろう。
そういうポケモンなのに、へんな子だ。



「もしも彷徨っても、ランプラーは一緒にいてくれるでしょう?」



だったら一緒がいいね、と言うとランプラーは渋々顔を振ることをやめた。
撫でてあげようとしたが、いよいよ身体も自由が利かなくなってきた。



「最後の星、折れなくなっちゃったな」



ランプラーを撫でることすら出来ないのならば、枕元のウイッシュメーカーの星を折ることもできない。
そうしたら、私の願い事は叶わないだろうか。
それは嫌だな。
でも、今日だけ願い事を、変えてもいいのならば。



「カブさんと、一緒に、いたかったな」



自然と涙が流れていた。
多分、私は、カブさんが好きだった。
朝ちょっとだけ眠たそうにしている顔も、少し照れたように笑った顔も。
一生懸命トレーニングしてる貴方も、ポケモン達と楽しそうに過ごす貴方も。
気付いたら、全部。
けれど、こうなることがわかっていたから、わがままなんて言えなかった。
誰が、好きな人を置いていけると言うのか。
せめて私が口にしなければ、カブさんは私の想いを知らずにいられる。
そうすればきっと、この寒いカンムリ雪原で過ごした日のことも、そのうち薄れて思い出せなくなるだろう。
それでいいんだ。



「出逢わなければ、良かったって言ったら、怒られちゃうかな…」



いつの日か、一度だけ見た怒ったような顔のカブさんを、思い出す。
いや、カブさんは笑っている顔が1番いいや。
ただいま、と聞こえた声に酷く安心した。
最期の言葉は、何にしようか。
さようなら。
ううん、おやすみなさい、にしよう。




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