いつものように俺の隣に座って新聞を読み始めると、ぽつりとグラジオのあんちゃんの名前をナマエは呟いた。
見ていた記事を横から覗き込む。
今日の1面は、エーテル財団自慢のポケモン保護区をバックに代表代理の少年が、ポーズを取って写っている写真が大きく載っていた。
財団代表の女性は体調不良により、その座を実質退いた、というようなことが書かれていた。
原因は先のウルトラホールの事件と、多忙が重なってのことだとか。
どこまで本当なのかはわからないが、表向きは、そういうことにしたのだろう。
それよりも、俺が気になっていたのは別の組織の動きだった。
国際警察がアローラで動き始めている、という噂を小耳に挟んだ。
あいつも来ているということは、恐らくウルトラビースト殲滅の件だろう。
こないだ対時したBLASTER以外にも、アローラにバケモンがやってきているらしい。
どうせ全部殲滅する、だとか言って動いていると見た。
一度失敗したあの作戦をまた使おうだなんて、国際警察もロクなもんじゃない。



「ナマエ、BEAUTY…いや、フェローチェのこと、知ってるかい」


「フェローチェですか、多少ならわかりますが」


「ねえちゃんの力、おじさんに貸してくれよ」



私でよければ構わない、とは言ってくれたものの、何故今更、と言いたげに俺を見つめた。
まあ、そうなるわな。
ナマエには、もう嘘を言えるはずもなく、国際警察が情報提供を求めている、と当たり障りのない程度に伝える。
え!?と驚いたような声を出したが、すぐにポリゴンZからデータを引き出してくれた。
フェローチェ、最大の特徴はその美貌、もしくはフェロモンにある。
対時した殆どの生物は、その容姿に魅了されたかのようにまごつき戦意を失うという。
因みに、こいつは現在発見されているどんな生物よりも速く、瞬間時速200キロを超える瞬足の持ち主らしい。











「見たわけじゃない、とおっしゃいましたが…これじゃあ、クチナシさんがまるで」



「いいじゃねえか、そんなこと」



頑張れよ、とあんちゃんとリラにナマエからの情報を一通り伝えると、モーテルから帰ろうとする。
ああ、そういえば、まだあんちゃんに話してないことがあったな。



「あんちゃん、そいつはむし、かくとうの複合タイプだってよ、特性はビーストブーストだ」


「ちょ、ちょっと待ってください!クチナシさん…!」



連れて行くポケモンは考えなよ、とあんちゃんに言ってやれば、あんちゃんはこくりと頷いた。
その後ろでリラがなにやら騒いでいたが、モーテルの入り口のドアを閉めればそんな声は届かなくなった。



「…やっぱりあんたすげーよ、ナマエ」



そう独り言を零しながら、1人ほくそ笑んだ。
やはり国際警察は、そんなところまで情報は持っていなかったと見ていい。
あのリラの慌てぶりを見てれば、すぐにわかる。
さーて、仕事も片付いたことだ、ちょっくらのんきするか。
お手柄のナマエに、ハウオリで土産でも買って帰るとしよう。




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