新たに目撃されたウルトラビーストの情報を伝えにポニ島まで出かけていたら、まん丸の満月が空高く上がり、夜も更けてきた。
やっと、15番水道まで帰ってきたところで、浜辺で手を振る見慣れた姿が見える。
「先寝てろって言っただろ」
「なんだか眠れなくって」
と、肩をすくめて笑ったナマエは、何故かいつもより別嬪さんに見えた。
おじさんと散歩でもするかい、と誘ってやればそのつもりでわざわざここまで来たという。
全く、物好きなねえちゃんになったもんだ。
まっさらな浜辺に、おじさんとねえちゃん揃って座り込む。
ウルトラビーストの情報はちゃんと伝えた、とナマエに言ってやれば、安心したように少しだけ笑った。
昼間と違い、ほとんど人がいない15番水道の海岸沿いは、俺とねえちゃんの話し声以外には打ち寄せる波の音しか聞こえなかった。
「デンジュモク、早く捕まると良いですね」
「おまえさんの知識とあんちゃんの腕がありゃあ、すぐに終わるってもんよ」
そうですよね、とナマエは小さく呟く。
その横顔は、月明かりのせいか、やたら寂しそうに見えた。
「あの、もし…もしすべてのウルトラビーストが、捕獲されたら、私…もう何の役にも立たない、ですよね」
「なんだよ急に」
「それに!もう代表はいませんから…クチナシさんに、お世話になる理由もない…です」
でも、その、と言いにくそうに、ナマエは言葉を詰まらせる。
ああ、そんなことを悩んでいたのか。
誰が、今更あんたを追い出すってんだ。
「いれば良いじゃねぇか」
「え…?」
「…ずっと住んでりゃ良いだろ」
気に入ってんならよ、と言ってやれば、驚いたように目を丸くした。
何も言わないナマエに、違うのかよ、と言えば首をふるふると横に振った。
そして、頬を赤らめながら伏せ目がちになると、ナマエは小さく口を開いた。
「あの、私、クチナシさんのこと…っ?」
「そっから先は、おじさんに言わせてくれよ」
赤い唇に、人差し指を当てて言葉を遮る。
突然の俺の行動に初めは戸惑ったようだが、ナマエの後に手を付いて顔を近付ければ、それを受け入れるかのようにナマエはゆっくりと瞼を閉じる。
月の光で出来た2つの影が重なる頃には、互いの唇も重なり合っていた。
「愛してる、って言ったら、どうするよ」
「嬉しい、です…だって私も」
一緒だから、と少しだけ照れ臭そうな笑顔を見せたねえちゃんの肩を強く抱き寄せて、もう一度唇を落とす。
美しい満月と幾千の星が輝く、アローラの空の下で。
ほし降るそらの下
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