「やった!捕まえました!」



そんな声が聞こえてきたのは、もう昼過ぎの頃だった。
アブソルがいた周りに、使い物にならなくなったモンスターボールがいくつ転がっていたかは、数えないでおいてやった。
遠目に様子を見ていたが、あれは捕まえたというより、野生のアブソルが根負けしたようにも見えたのは俺だけだろうか。
最後なんか、モンスターボールに当たりに行ってくれたしな。
兎にも角にもおめでとよ、と言ってやると、大切そうにアブソルが入ったボールを持ちながら、満面の笑みでこちらを見上げる。
全く、なんでおじさんなんかにそんな顔をするんだか。
心身共に疲れ切ったポリゴンZとアブソルを、最寄りのポケモンセンターで回復させてから、仮住まいの交番へと帰った。











「クチナシさん見てください、この子とっても美人です!」



帰れば、ナマエ達はそれはもう騒がしかった。
はいはい、と返事をしながらニャース達にポケじゃらしを振る。
見もせず適当に返事をしても、怒らないほどねえちゃんは新しい仲間に夢中だった。
自分のお手入れグッズを机の上に広げ、アブソルの毛並みをこれでもかというほどキレイに整える。
キレイに整えては、ふわふわね、と顔を寄せたり両手で撫でたりとそれはもう忙しい。
アブソルも嬉しいのやら、困っているのやら、複雑そうな顔をして黙って撫でられ続けていた。
おまえは偉いな。



「流石山岳地帯を生息域とするだけあって手足の爪はかなり鋭いですね、あ、角、よく見してもらっても…まだ、ダメ?」


「程々にしとかねぇと切り裂かれるぞ」


「ちょっとだけ、やっぱりダメかぁ…」



アブソルにそっぽを向かれたナマエは、残念そうに床にぺたりと座り込む。
それでも、凝りもせずにねえちゃんはアブソルの身体に抱きついて、離れようとはしなかった。
そんなねえちゃんに嫉妬してか、ただならぬオーラを纏ったポリゴンZが後ろからナマエをロックオンする。
次のターン、ロケットずつきでもするかの勢いでナマエの脇腹に頭から突っ込んでいった。
俺は見ないふりをする。
ポー交番にはねえちゃんの叫び声が響き渡った。



「ごめんってポリゴンZ、嫌いになったわけじゃないから…」



ポリゴンZの怒涛のたいあたりに完全にのされたねえちゃんは、床に仰向けになって倒れていた。
そんな主人を他所に、頭と尻尾をぶるぶる震わせて、まだいかりが収まらないポリゴンZと、それを宥めるアブソルはもうすっかり仲が良いようだ。



「クチナシさん、トレーナーってこんなに大変なんですね…」


「俺は程々にしとけっていっただろ」



憐れみの目で上から覗き込んでやるつもりが、床に転がってこちらを見上げるナマエが妙に色っぽく見えて目のやり場に困った。
まいったなあ。
そういうつもりじゃ、なかったんだがな。




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