ねえちゃんのトレーナーとしての特訓で、一番問題となっていたのは、やはり対人でのバトルだった。
相性や技のタイプの知識に関しては、一般トレーナーのそれを優に越えているため、そこは問題ない。
あとは、技を出すタイミングや戦略だけだったが、ここに関してはナマエはどうにも向いていなかったようだ。
いろいろと試させてみたものの、まあ上手くは行かなかった。
というより、ナマエのポリゴンZとアブソルはトレーナーに上手く合わせられるが、ナマエ本人の方がポケモンに付いていけてないと見た。
こうなると勝敗は二の次として、とりあえず目と目が合ったら勝負できるくらいにするしかない。
まぁなんかあった時はなんとかしてやるか、と思っているのは、ただ単に匿ってやる存在としての思いなのか、それ以上なのか。
考えるのは面倒なので、やめておいた。
「アブソル、つじぎり!」
今度は上手く指示できたようで、アブソルのつじぎりが急所に当たったペルシアンは、がくっと体勢を崩した。
流石、きょううんの持ち主だ。
よし!と満足そうに喜ぶナマエに、ペルシアンは甘いとでも言いたげに、にやりと笑う。
そうかい、おまえさんもなかなかに悪いヤツだな。
「今だ、パワージェム」
「あ…!」
俺の合図に合わせて、ペルシアンは宝石の如く煌めく光を発射する。
まともに食らったねえちゃんのアブソルは、目が眩みよろよろと後退ると、そのまま地面に倒れ込んだ。
隙だらけのアブソルには堪えるだろう。
慌てて駆け寄るナマエを、アブソルは申し訳無さそうに見上げて小さく鳴く。
「ふいうちずるいです!」
「ずるいも何もあるかよ、それにふいうちじゃねえ」
今度こそ勝てそうだったのに、と悔しがるナマエを他所に、余裕の面構えで毛づくろいをするペルシアンはにやにやと笑う。
そうだよなあ、俺もおまえも全然本気なんか出しちゃいない。
まぁ悲しむだろうから、ねえちゃんには本当のことは言わないでおいてやろう。
「ま、及第点ってやつだな」
「うーん…もうちょっと出来たと思ってたのに」
「攻撃も出来ねえよりは、随分とマシってもんだ」
そうだろ、と言ってやればねえちゃんは目を丸くした。
そして、嬉しそうに笑って、はい!と元気よく返事をする。
隣に座るねえちゃんのアブソルも主人の成長を喜んでか、嬉しそうに続いて返事をした。
「さて、次はおまえさんに経験ってのやるか」
俺のアブソルと戯れるポリゴンZに、そう声を掛けてやると、やる気に満ちた表情でナマエの側にやってくる。
後からやってきたアブソルには負けまいと、離れた頭と腕を小刻みに震わせ、バチバチと電気を身体から放出させた。
案外こいつは、負けん気が強いのかもしれない。
面倒だと思っていたねえちゃんの特訓も、ここまで来たら最後まで付き合ってやるしかないってもんだ。
んじゃま、軽くひねってやるかね。
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