私もデンジさんも、毎日毎日夜が更けるまでジムの改造に没頭した。
時折家に帰ることも忘れるくらいに夢中になって、窓から日の出を見た時は、2人とも目の下を真っ黒にしていて互いに笑った。
オーバさんに、おまえらいい加減にしろ、と2人揃って怒られたこともある。
そして毎日デンジさんにいろんな知識を教えてもらい、作業も数をこなす事で私の電気工事に関する腕前もそこそこ上がってきたと思う。
現に、多少難しいこともデンジさんに任せてもらえるようになったし、やり直しもほとんどなくなってきた。



「上達してるな、ナマエ」


「先生の教え方が上手なんですよ」


「…そんなことないだろ」



口元を手の甲でとっさに隠したデンジさんは、少しだけ照れ臭そうだった。
ナマエが上手くなってんだよ、と少しぶっきらぼうに褒められれば、今度は私が照れる番だ。
そんなちょっと微笑ましい雰囲気から一転して、慌てた様子のジムトレーナーさんと作業服の人が凄い顔をしてこちらにやってくる。



「ジムリーダー!電気使用量が多過ぎます!少しは抑えていただかないと」


「今作業してるんだ、仕方ないだろ」


「また街中停電させる気ですか?困りますからね!」



デンジさんは溜め息を吐いて、やれやれと首を振る。
電力会社の人から、電気使用量の件で苦情が来たようだ。
これは今に始まったことでもないみたいで、電力会社の人も呆れたように説教をする。
貴女からも何か言ってやってください、と言われたけれど、私に出来ることは特にない。
というより、私もまあまあ電気を使ってる側の人間だ。
どちらかと言うと、貴方が今怒ってる人と同類である。



「良いですか?昼からは電気使用量が増えるんですから、節電にご協力ください!」


「ああ、気をつけるよ」



怒って帰っていったその人を見送り、姿が見えなくなるとデンジさんは吹き出した。
怒られ過ぎて、最早笑えるようにでもなってしまったのだろうか。



「…ッフッフ、ナマエに何とか言えって」


「私も、使ってますから、ね…」



私がそう返事すると、遂にデンジさんは声を上げて笑った。
あ、デンジさんも同じこと思ってたんだ。
可笑しそうに笑う彼を見ていたら、私まで釣られて笑って、ジムの機械室に私達の笑い声が響く。
いつからか、私はこんな日々がとても幸せだと感じるようになった。
作業ももちろん楽しいのだが、それよりもデンジさんと過ごす毎日が楽しくて、嬉しく仕方がなかった。



「昼からは別の作業にするか、1日に2回怒られるのは御免だ」


「じゃあこの続きは?」


「もちろん深夜だ」



悪戯っぽく笑ったデンジさんに、また胸の奥が締め付けられて苦しくなる。
ああ、もう何回目なんだろう。
これが一体何なのか、私にはよくわかっていないけれど、こんな風になる度この先もこの人の側にいられたらと、強く思うのも確かで。
このまま、ずっと、デンジさんと。



「一緒に、いたい…な」



その広い青色の背中に、まだよくわからない気持ちと少しの願いを込めて小さく呟いた。




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