「私はギンガ団建築隊隊員、ナマエと申します」



ナギサジムとやらに連れてこられた私は、名前を聞かれたのでそう名乗った。
ちゃんと名乗ったはずなのに、目の前のデンジさんは怪訝そうな顔をする。



「ギンガ団?少し前にシンオウ全土で悪事働いてたとかいう…」


「ち、違います!ギンガ団はコトブキムラを本拠地とするヒスイ地方の調査隊です!悪い事はしていません!」



必死に弁解したものの、良くはわからないがとりあえずそう名乗らない方が良い、と言われてしまった。
此処にも偶然同じ名前の組織があって、そっちのギンガ団は悪い事をしていたそうだ。
自分の仕事には誇りを持っていただけに、そう言われてしまうと、なんだか複雑な気持ちである。
それよりも、彼の口からようやく私が知っている単語が出てきたのだ。
シンオウ、これはきっとコンゴウ団とシンジュ団の言っていたシンオウさまという存在のはずだ。



「デンジさんは、シンオウさまをご存知なんですね?」


「シンオウさま?それは知らないけど」



やっと話が通じると思ったのに、これもダメだった。
デンジさんの言うシンオウさまは何なのか、聞けば私は驚いた。
この地の事を、シンオウというらしい。
それは、どちらかのシンオウさまが作った土地だということなのだろうか。
余計わからなくなったが、とりあえずヒスイ地方ではない事はわかった。
ガラルでもジョウトでもない、シンオウという新しい土地。



「それよりコトブキムラって何処だ?コトブキシティじゃないのか?」


「いえ?コトブキムラです」



煉瓦造りのとても立派な建物が私達の拠点です、と言えば、そんなところあったっけ、とデンジさんは首を傾げた。
似ているようで、話が全然通じていない。
仕方が無い、異国の地に来たのだ。
幸いにもここの文字もそれなりに読めているし、会話もそれっぽく出来ているだけ良しとするべきだ。



「どうも話が噛み合わない気はするが、君はヒスイ地方の群青の海岸というところから流されて来た、という事で良いんだな?」


「私にもわかりませんが、そういう事だと思います」



ヒスイなんて地方聞いた事ないけど、とデンジさんは言った。
けれど、私は少し前まで、ヒスイ地方の群青の海岸にいたのだ。
嘘じゃない。



「それにしても、今時珍しい格好しているな」


「貴方の方が不思議な格好です、まるで空から落ちてきた…」



自分で言いかけて、はっとした。
目の前のデンジさんが、少し前に調査隊に入団したという、空から落ちてきた男の子を初めて見た時の、彼の格好になんとなく似ている気がしたのだ。
まさか、つまり、私は。



「そういう、こと…?」


「どうした?」



なんでもありません、と誤魔化した。
誤魔化さないと、怖くて身体が震えそうだった。
もしそうだったとしたら、どうやって帰れば良いのだろう。
もしかしてあの子はこんな思いで、ギンガ団に入団したのだろうか。
その後、デンジさんは私に何か声を掛けてくれたが、私は何も返事ができなかった。




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