Sucreve
優しさの向こうの闇


「あれどしたの?ぽんぽん痛いの?」
お腹をさすっていると門倉さんに言われた。
「あー……ちょっと」
はは、と笑っておこうとしたけれど門倉さんは「土方さんに薬貰って来るよ」と部屋を出て行ってしまった。
少しして戻って来た門倉さんの手には白い薬包紙と湯飲みがあった。
「はい。一人で飲める?」
「飲めますよ……。子供じゃないんですから。……ありがとうございます」
有難く薬と湯飲みを受け取って、包みを開いた。白い粉薬だった。ざらりとしたそれを口に含み、すぐに湯飲みに口をつける。丁度いい温かさの湯と混じり、薬は喉を滑り落ちた。
湯冷ましをわざわざ用意してくれる辺り、この人は優しい。のだけど何故か私を子供扱いするきらいがある。
以前目が痒くて擦っていたら「お目々かいかいなの?掻いちゃダメだよ、腫れちゃうから」と子供に言うような口調で止められた。
さっきだって、わざわざ「ぽんぽん痛いの?」と聞いてきた。門倉さんには私がどう見えているのだろうか。そんなに子供っぽいのだろうか?
「どうかした?」
「……いえ、私ってそんなに子供っぽいでしょうか」
ぽつりと聞くと門倉さんは「何で?」と首を傾げた。
「だって、ぽんぽんとかお目々とか、……子供扱いしてません?」
「そんな事無いって。つーかオジサンからしたら大体が子供だから」
そういう問題なんだろうか。ならば皆に同じような対応をしているのだろうか?けれど本当に子供扱いしていないのならば。
「……門倉さん」
「ん?」
「子供じゃないですし、もう外に出てもいいですよね?」
そう問い掛けると門倉さんの目が闇に染まった。暫しの無言。それからぽつりと言われる。
「……おんもは怖いって言ってるだろ?死んじゃうかもしれない。だからめっ、だよ」
そう言う貴方の目の方が死んでいる、とは言えなかった。


終.

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