Sucreve
光の見えないこの部屋で
杉元さんは優しい。優しいのだけれど、何故か私を子供扱いするきらいがある。
「大丈夫?疲れちゃった?あんよ痛くない?」だとか、「寒いよねぇ。おててしもやけになってない?」だとか。
確かに私は杉元さんより年下かもしれないけれどいい大人である。なのにどうしてそんな物言いをするのだろうか。
見詰めていると杉元さんは私の視線に首を傾げた。
「うん?どうかした?」
「……いえ、杉元さんは」
「うん」
「何で私を子供扱いするんですか?」
「え?……あー、ごめん。子供扱いしてるつもりは無いんだ。ただ君の事が心配で、ついそういう口調になっちゃうんだ」
ごめんね、と再度言いながら杉元さんは少し赤い頬を掻いた。その表情は柔らかく、本心なのだろうと思える。でも、だからこそ納得が出来なかった。
「……杉元さん」
「うん?」
「……そろそろ、外に出てはいけませんか?」
「…………」
すぅ、と杉元さんの目から光が消えた。闇にも似た黒色の双眸が私を射抜く。
「…………ダメだよ。お外は怖い怖いだよ?」
また、子供をあやすような口調で、けれど子供が聞いたら泣いてしまうくらい低い声で杉元さんは言った。そう言う杉元さんの目の方が、何倍も怖かった。
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