Sucreve
指先で示す愛
夢主が空色のマニキュアを塗る話。
綺麗な空色だと思った。よく晴れた、秋の少し高い深い空の青。生憎と、そう綺麗な物を見ていないのと表現力の無さのせいでそんな言葉でしか彼の瞳の色を例えられない。もっとも私が勝手にそんな風に思っているだけだから別に何でもいいとは思うのだけど。
「…………」
ふんふんと興味深そうに彼が見つめる私の手。私は今マニキュアを塗っている。彼の瞳によく似た色だ。
「…………」
不意に彼がスマホの画面を見せる。画面には翻訳サイトが表示されていて、『なぜそのような色を塗るのか』とあった。マニキュアくらいは知っているだろうし、それがオシャレだということもわかっているだろう。なので単純に色の問題らしい。どうやらこの色は彼の美意識に合わなかったようだ。
何と説明しようか考え、手っ取り早く彼の瞳を指さす。
「……тот же 」
拙い発音。わかってもらえただろうか?彼は目を白黒させて、急に頬を赤く染めた。どうやら私の想いはちゃんと伝わったらしい。
手を握られて、ゆっくり彼の顔が近付いてくる。マニキュア、よれてないといいななんて色気の無い事を考えながら目を閉じた。
終.
- 5 -
*前次#
ページ: