Sucreve

一線を越える





ツイッターで呟いたやつ。家出したら▲さん的には自分なんかといるよりその方が良いみたいなことにしかならなそうだったので家出はやめました。
鰻とか存在している体でお願いします。








ずっと好きだった人と祝言を挙げた。片想いの期間は3年ほど。その間ずっと好きですと言いまくった。
最初の頃は年齢を盾にされた。年の差が何とか同年代の方がいいとか何とか。
勿論無視した。好きです、年齢なんてどうでもいいくらい好きです、と語った。
暫くしたら自分は記憶も何も無い異邦人だ、元々この世界に住む人の方がいいのではないか、といったことを言われるようになった。
勿論それも無視した。記憶が無いくらいどうってことはない、この世界の人間じゃないから何だ、私はあなたが好きなんです、と何度も語った。
更に少しして物好きですねと言われるようになった。こんな年上の、どこの馬の骨ともわからぬ男を好くなど、と。その頃にはどこか優しい笑みを向けられるようになった。
その笑みがまた愛しくて、ノボリさんだから好きなんです、と告げた。
少ししてから、彼はようやく頷いてくれた。
それから祝言を挙げて、初夜。彼は何もしなかった。キスはおろか同じ布団に入ってさえくれなかった。
私がそういうことを期待していたのはわかっているだろうに、彼は「おやすみなさい」とあっさり眠りについた。流石に凹んだ。
女としての魅力が無いのはわかっている。でも、それでも多少は意識してくれているのではないかなどと思った自分が悲しい。
彼は私のワガママを聞いてくれただけなんだ。そう理解して、一人布団で泣いた。

  ◆

少しすればもしかしたら、なんて思ったがノボリさんの態度は変わらなかった。布団は別だし、触れられることもない。
なので私は色んな人に聞いてみた。そういうことをしたくなるように仕向けられないかと。すると誰かが「精のつくもの食べさせたら?」と言ったのだ。
例えば肉、山芋、鰻、等々。そういう物を食べれば必然、そういう気分になるのではということだった。納得した私は早速実行した。
「……今日の夕飯は豪華ですね」
色々と並べられたものを見てノボリさんは呟いた。私は「そうですか?」とだけ返した。
私もノボリさんも黙って箸をつける。普段なら私が色々喋って、ノボリさんはずっと話を聞いてくれるんだけどどうにも緊張して声が出なかった。今夜こそノボリさんは私に触れてくれるだろうか?ちらちらとノボリさんの様子を窺っていたけれど、ノボリさんはいつもと変わらない様子で淡々とご飯を食べていた。
これでもダメか、と思うと泣きそうになる。そんなに私は魅力が無いのだろうか。じんわり滲む視界を誤魔化そうと「お茶入れてきますね」と立ち上がった。
急須にお茶っ葉を入れながら袖で乱暴に目元を擦った。例え私が泣いててもノボリさんは何も言わないだろうけど、それでも泣いてるのは気付かれたくなかった。

  ◆

いつもより遥かに静かに夕飯を終えて、布団に入る。布団はやっぱり二組敷かれた。間には少し距離がある。せめて近くで寝たいけど、もしかしたら魅力云々よりも私のことが嫌いなだけなのかもしれない。そんなことを考えてまた涙が浮かんだ。
「……お、おやすみなさいっ」
声に涙が混じる前に言い切って、ノボリさんに背を向けて布団に潜る。浮かぶ涙を吸わせるように布団を抱き締めた。
「おやすみになられてしまうのですか?」
「え……?」
背後から聞こえた声に固まる。いつもならノボリさんは「はい、おやすみなさいませ」って言ってそのまま寝ちゃうのに、何で?
固まっていると布団の中に何か入ってきた。背中に熱を感じ、一瞬逃げそうになる。けどそれは出来なかった。腰に手が、ノボリさんの手が巻き付いてきたのだ。
「……あのようなことをして、わたくしをほったらかしておやすみになられると?」
「ひぅ……っ」
掠れた声で囁かれ、仰向けに転がされた。
「ノ、ノボリさん……っ!?」
「あなたさまはわたくしのことをわかっていらっしゃらない。わたくしがどれだけ我慢したとお思いですか。…………きっと、一時の気の迷いだから、あなたさまを傷つけることのないよう、傷物にしてしまうこともないようにと自分を押さえつけておりましたのに」
そんな風に思われていたなんて知らなかった。けど、それはつまり私の本気が伝わってなかったということで。
「……ノボリさん、好き、好きです……っ!」
「!」
「だから……っ」
ノボリさんの好きにしてくださいと続くはずの言葉は消えた。ノボリさんの唇が私のそれを塞いでいた。
間髪入れず、熱いものが入ってくる。柔いそれが舌だと気付いた時には口の中を散々蹂躙されていた。
「ふ、は……」
「……もう、我慢は致しません」
行灯の薄明かりでもわかるくらい、ノボリさんの目はギラギラしていた。
私の寝間着の中に手が差し入れられる。硬い手のひらは熱くて、少し湿っている。その手でぺたりぺたりと色々な所に触れられた。時には撫でるように動いたり、何かを確かめるように揉んだりとノボリさんの手は自在に動く。その大きな手で胸を包まれた時には思わず声が出てしまった。
けれどノボリさんは気にした様子もなく、そのまま私の胸を揉みしだく。強くはなくて、むしろ心地良い。
指先がじわりと動いたかと思うと先端を摘まれた。びく、と身体を震わせるとノボリさんの唇が弧を描いた。
爪でひっかくようにされると更に身体が跳ねる。声が恥ずかしくて口を押さえたら「何故隠すのですか」と腕を握られた。
「ぁ、やっ……っ」
ちゅ、ちゅ、と小さな音を立てながらノボリさんの唇が肌を滑る。髭が当たって少し擽ったい。胸の天辺を口に含まれて、一際大きな声が出た。舌先で擽るような愛撫に全く声を抑えられなくなって、ノボリさんにされるがまま甘ったるい声を上げる。下腹部がじんじんと疼き、秘所が熱く潤み始めたのがわかる。
先端に歯を立てられ、電流にも似た感覚が身体を駆けた。ノボリさんはそのまま下へと唇をずらしていく。
腰に触れて、下履きを取られた。ノボリさんに見られているのが恥ずかしい。隠そうと伸ばした手はやっぱりノボリさんの手に止められた。
「あなたさまの全てを見せてください」
「ぁ、っ……」
足を開かされて中心に濡れたものを感じた。舐められている、と気付いて抵抗しようとしたけどまぁ無理で。ノボリさんの力には敵わない。
「んっ、ぁ、っ……」
ノボリさんの舌が動く度濡れた音が聞こえる。流石に我慢出来ないくらい恥ずかしくて、足をばたつかせたらとても不満そうな顔でノボリさんが起き上がった。
「……あまりそういったことをされますと酷いことを致しますよ」
「ゃ、だっ、て、恥ずかしい、ですっ!」
「全てを見せてくださいと言ったでしょう?……恥ずかしいところも、気持ちよくなっている声も、全て見せて、聞かせて、わたくしだけのものにさせてくださいませ」
ぐい、と私の足を広げて、ノボリさんが身体を近付ける。触れた熱に少し怖くなった。
「ぁ、ノボリ、さんっ」
「はい」
「怖い、です」
「わたくしの一部ですよ。そのように仰らないでください」
「ぅ、うぅ……」
確かにそうかもしれないけど怖いものは怖い。初めては痛いって聞くけどどれくらい痛いんだろう。不安で目をきつく閉じると頬を撫でられた。
「わたくしに触れられるのは嫌ですか?」
「……嫌じゃない、です」
「でしたら、大丈夫ですよ」
優しい言葉に不安が溶けるのがわかる。力を抜いてノボリさんに身を任せた。
私を気遣って少しずつノボリさんが入ってくる。ぎちぎちと身体を押し開かれる感覚に息が出来ない。というか吸ってばかりで上手く吐けない。そうなれば必然呼吸は止まる。
するとノボリさんが「呼吸は止めないでくださいませ」と荒い息と共に言った。
「っ、手、繋いで、欲しいです」
呼吸の合間に告げるとノボリさんは片手で私の手を握った。ノボリさんの手は熱くてびっくりしたけどすぐに安心する。ノボリさんの手を握り返しながら小さな呼吸を繰り返せばノボリさんは頬を緩める。
「痛くありませんか」
「だいじょぶ、です……っ」
嘘だった。本当は痛くてたまらない。だけどノボリさんと一つになれたことが嬉しかった。
「動きますよ」
「ぁ、ん……っ」
やっぱり私を気遣うような優しさでノボリさんが動く。その度身体の深い所を抉られるような痛みが走るけど我慢出来た。それくらい幸せだった。
「っ、ふ、ぅ……っ」
唇を噛むとノボリさんが申し訳なさそうに「やはり痛みますよね」と動きを止めた。
「ゃ、ノボリ、さ、んっ」
「痛いのでしょう?」
「……痛い、けど、それより嬉しい、から、だからっ」
「!」
涙で滲んだ視界でもノボリさんが笑ったのが見えた。ノボリさんの手が私の顎を掴んだかと思うとそのまま口付けられた。入ってきたノボリさんの舌は私の舌を絡めると吸い上げる。
「んぅ、うっ、ん、っ!」
ちゅ、じゅ、と音を立てながら強く吸われて、頭がぼんやりしてくる。苦しいのか気持ちいいのかもよくわからなくなった頃やっとノボリさんは唇を離した。
「……は、ふぁ……」
「すみません。あなたさまが愛らしいので抑えがききません」
「んっ、あ!」
またノボリさんが動き始める。そこにさっきみたいな気遣いはなくて、抑えがきかないのは本当らしいと知った。
少しずつノボリさんの動きが早く、強くなって、一番深い所で動きが止まった。ノボリさんを見れば何とも言えない真剣な目で私を見下ろしていて。それと同時に身体の奥により熱いものを感じた。
「ぁ……」
痛くて気持ちよくも何とも無かったけど心は満たされた。大好きな人と繋がれたという現実を噛み締めながら、私はとても幸せな気持ちのまま眠ってしまったのだった。



  ◆


緩やかに意識が戻る。何か温かいものがすぐ側にあるのに気付いて目を開けると、真顔のノボリさんと目が合った。
「っ!?」
「おはようございます」
「お、おはようございます……」
ノボリさんに腕枕をされていた、と気付いて恥ずかしくなる。ああ、そうだ、昨夜はノボリさんと。
少しの痛みと気怠さに幸せを感じているとノボリさんは腕を抜いて私にのしかかってきた。その目は昨夜のように……いや、昨夜よりもギラついている……?
「え、あの、ノボリさん?」
「昨夜申し上げました筈です。わたくしもう我慢は致しません、と」
「あ、は、はい……」
「にも関わらずあなたさまは早々におやすみになられてしまったのでわたくし大変不完全燃焼でございます」
「あ、あぁ……?」
「ですので、本日はあなたさまを布団から出す気はございません」
「えっ」
「……申し訳ございません。本日ではなく向こう三日程に訂正させてくださいませ」
「えっ?」
ノボリさんの手が頬を撫でた。熱い手のひらにそわっとしてしまう。
「愛しております」
「……あ、わ、私、も」
愛してる、と返した小さな声は昨夜のようにノボリさんの唇に吸い込まれていくのだった。



end.


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