チョコミントの調べ
最近幼女とかメンヘラとかやばい存在にしちゃってるのでたまにはかっこいいのくださいって思ったら微妙な仕上がりになった。
好きとか言えずにとりあえずお茶に誘って(連れてって)みたけど今一つ何を話していいかわからずイライラしているいんごさんは可愛い。
ボスが恋に落ちた経緯とかこの後とかは各位ご想像いただければと思いますが一つだけ確定しているのは掴んだ夢主の手首が思いの外細くて傷つけていないだろうかと不安になるボスの存在です。
前略皆様本日が私の命日となりそうです。
三十分程前のことでした。急にボスに呼び出され、何かしでかしてしまっただろうかはたまた虫の居所が悪くサンドバッグにでもされるのだろうかと不安になりながらボスの執務室に向かいました。
ボスは私を見るなり「ついてきなさい」と部屋を出ました。勿論私に拒否権も疑問を挟む勇気もありませんので大人しく従います。
かつかつとヒールを鳴らしながら歩くボスの後をついて行って、気付けば私はカフェにいました。オープンテラスのオシャレなとこです。正直私如きが足を踏み入れてよいのでしょうかというくらいのオシャレなカフェです。
そのテラス席で私とボスは向かい合って座っておりました。ボスは不機嫌なのかイライラしているのか白い煙を吐きながら(ああ、だからテラス席なのでしょうか。煙草を吸いたかったから)、机をトントンと叩いています。その先では白いコーヒーカップの黒い水面が揺れていました。
私はといえば何故このような状況になったのかさっぱりとわからず頼んだコーヒーに砂糖もミルクも入れる動作が怖くてブラックのままのそれをちびりちびりと飲んでいました。
「……甘いものは嫌いですか」
「え?い、いえ、好きです……」
答えるとボスは手を上げて店員さんを呼び、メニューを私に寄越しました。全く予想外だったので固まっていると「好きなものを頼みなさい」と仰いました。
困惑しました。何でいきなり。そもそも入った時に頼んだコーヒーでやっとだったのに(それもボスが頼んだから同じので、と頼んだものです。本来私は紅茶派です)。とはいえ断る勇気もありませんでした。じゃあ、と震える指で頼んだのはチョコミントのケーキ。
少しして茶色いケーキに薄緑のクリームが乗った皿が届きました。それを見てボスは「……何ですか、それ」と怪訝な顔をしました。
「チョコミントのケーキです……」
答えるとボスは更に眉間に皺を寄せました。
「チョコミント、お嫌いですか?」
上からのような言い方になってしまいました。殺されるかと思いましたがボスは怪訝な顔のまま。懐から銃が出てくるというようなこともありません。
言う程チョコミントに市民権が無いのは理解しています。ミント=歯磨き粉というイメージも理解しています。だけど美味しいんです。
「一口食べてみます?」
無意識でフォークにケーキを一口取りボスに差し出しました。一瞬ボスが止まったのを見て、「あ、間違えた」と思いました。だって、恋人のようではありませんか。あーん、だなんて。
すみません!とフォークを引っ込めようとしましたがボスの手が私の手首を掴みました。え、と思う間もなくボスは私の差し出したフォークにぱくりと食らいつきました。
「……思ったより悪くないですね」
唇を舐めるボスの仕草に胸の辺りがきゅっとなります。それはチョコミントのケーキを気に入ってもらえたからという理由ではありませんでした。かといってこの感情を何と呼んでいいのかは全くもってわかりませんが。
「そ、それなら、よかったです……」
宙に浮いたままの私の手を恐る恐る戻し、ケーキを一口食べました。
爽やかなミントの香りと甘いチョコレートが美味しいハーモニーで口内を満たします。
あ、間接キス。
飲み込んでやっと気付くと、ひどく優しい目をしたボスと視線が絡みました。
end.
- 2 -
*前次#
ページ: