half asleep
ふと目を開けて、隣で眠る恋人の名前がぱっと出て来なかった。代わりに出て来たのは昨日読んだ漫画のキャラクターの名前だった。
「は?」
寝ていたはずなのに目にも止まらぬ速さで枕の下から拳銃を取り出すとインゴは私の額に銃口を押し当てた。あ、インゴだ。そうだよ何で出て来なかったのたかが3文字。
ごり、と押し付けられた銃口は微妙に温い。枕の下にあったからだろうか。セーフティを外してない辺りまだそこまで本気で怒ってはいなさそうだけどさてどうしよう。
「今何と?」
「っ、あー……の、…………ごめんなさい」
何の言い訳も思いつかなかったので素直に謝る。寝ぼけてましたとしか言えない。
「何故他の男の名を口にしたのですか」
「……ごめんなさい、間違えました」
「は?」
素直に答えているのだがインゴの眉間の皺がより深くなる。だよね私も多分同じことされたらキレる。ここまでじゃないけど。
「何をどう間違えたと?」
「ね、寝ぼけてたんだと思う……」
「…………」
インゴの視線が呆れたようなものに変わって、一つ深い溜息を吐いた。銃はしまってくれた。というか枕の下に移動させたというか。
「……わたくし大変傷付きました」
「ですよねごめんなさい」
「埋め合わせを求めます」
「な、何をしたら許してくれますか」
「そうですね……暫くわたくしの言うことを聞きなさい。どんなことであっても」
「えーやだ怖い」
「は?」
「ごめんなさい」
「とりあえず……名前を呼んで頭を撫でてもらいましょうか」
「お安い御用です女王様」
「どうせなら御主人様がいいですね」
「名前は?」
「名前も」
「わかりました御主人様。……インゴ様?」
「ああ、それでいい」
満足らしいインゴの頭を撫でつつごめんなさいインゴ様、と抱き締める。インゴが嬉しそうにしたので、謝罪も兼ねて今日一日は甘やかすかと決めた。
end.
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