prologue

天使は、存在する。人間達の見えないところで、知らないところで、日々人間達を助け見守っている。それが、天使の役目だから。
アイクもウォルロ村を任された守護天使だった。守護天使として誉れ高いイザヤールを師に持つ彼は、天使界でも一目置かれる存在だ。
天使の同期の中でも守護天使となり一つの村を任されたのは彼が初めて。出世の階段を一段飛ばしどころか二段も三段も飛び越えていった。
それを率直に讃える者もいれば、逆に妬む者もいそうなものだが――彼の気取らない、友好的で気さくな性格が、そんな反感を霧散させていた。
守護天使となったことを鼻にかけることもなく、誰とでも分け隔て無く接する。そんな彼を、周囲の者は揃って「誰とでも仲良くなれる天才だ」などと称した。
――本人がどう思っていたかは、さておき。

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