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「轟くんお待たせ…!」

「ああ。」

病院の外に出ると、そこには夕日を眺める轟くんがいた。
先週、夕日の写真を送ったあとに、轟くんからもお返しのように綺麗な夕日の写真が送られてきた事を思い出す。私はなんとなく、空を眺めることが好きで、轟くんもそうなのかなと勝手に想像を膨らませていた。

「轟くんも空眺めるの好きなの?」

「いや、別に。」

あれ、どうやら私の思い違いだったようだ。
先週夕日の写真を送ってきてくれたのは、私が一方的に送ったから、そういう流れなのだと彼が理解しての事だったのかもしれない。
それでも、轟くんが見た綺麗な景色を、彼が切り取って送ってくれた事は、友達としてちょっと近付けたのかな、なんて思った。





そんな気持ちを心の中に仕舞い、黄金色に包まれた道を並んで歩きながら轟くんと駅へ向かう。
なんて事ない雑談をひとつふたつ交わしたあと、私は今日轟くんと話したかった本題について話し始める。

「……ねえねえ、轟くんに聞いてもいい?」

「何だ?」

「今度さ、授業参観あるでしょ?あれ授業内容が、『保護者への感謝の手紙を朗読する』なのに、祐佳の家ママは入院中だし、パパも仕事で誰も来られなくて…。轟くん家もお母さん入院中って言ってたから、どうなのかなあって思って。」

「……うちは姉さんが来る。」

「え!!!」

想像以上に大きい声がでてしまって慌てて口元を抑える。
轟くんは完全に自分のお仲間さんだと思っていたので、お姉さんが来ると言われた事に驚いて、ついそう口に出してしまった。

「え、てなんだ。」

「いや……ごめんね……轟くんは勝手に祐佳と同じパターンだと思ってたから、びっくりしちゃって。お母さん入院中だもんね、お父さんはやっぱり仕事?平日だとお休み取るのも難しいよね。祐佳のパパもそうだもん。」

「…………」

突然の沈黙。
そういえば先週の病院の帰り道でも、こんな様な事があったなと思い出す。

そしてこちらをジッと見つめながら、轟くんは何か言いたげな顔をしていた。私はそんなに変なことを言ってしまっただろうか。

「…え?ごめん、もしかして変なこと言っちゃった??え、もしそうだったら謝るよ…!?」

「…………いや、そういうんじゃねえけど。お前って、たまに周り見てないとか言われねえか。」

その通りすぎて何の反論も出来ない。
昔から友達や家族によく言われてきた言葉だ。轟くんはクールに見えて、意外と人のことをよく見ているなと思う。でも、そんな事を聞いてくるというのは、やっぱり私が変な事を言ってしまったという事ではないのか。

「言われる、けど………えっ、祐佳やっぱり変なこと言った??」

「いや、言ってない。」

「ごめん………」

 轟くんに「いやだから言ってねえ。」と言われたけど、あの謎の沈黙と何か言いたげな顔からして、絶対に嘘だと思った。

でも夕日に照らされた彼の横顔は、少し口角が上がっている気がして、轟くんはまだまだ難しいなぁなんて思いながら、自分の気持ちも口角も緩んでいるの感じた。





2021/04 尺の兼ね合いで微妙なとこだけど一区切り。悩んだけど、しょちゃんがエンデヴァーの息子なのこの頃のゆうかちゃんは知らないです。