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「怒らせちゃったなあ…………」

そう呟きながら僕は轟くんと飯田くんの元へ戻る。
祐佳ちゃんとは小学校から一緒で、僕のヒーローになる夢をずっと応援してくれていた大切な友達だ。
そんな彼女は、優しい故にすごく心配性。今回は僕が連絡を忘れてしまったことが原因だけれど、ああして本当に稀に怒らせてしまう事がある。普段温厚な祐佳ちゃんは、怒ると口数が減って目と表情で怒っていることを訴えてきて、その顔はちょっと怖い。

「うむ、話は聞こえていたぞ。前田くん含め連絡はしっかりしないとな!報連相は大切だ!」

「うっ……………胸に刺さるなあ。そうだよね………」

きっとすごく心配させてしまったのだろう。怒っている表情の中に、すごく悲しい顔をしていた。心配してくれる友達がいることが当たり前ではないのだと反省し、後できちんと謝っておこうと自らに誓う。
そうして予鈴も鳴ったので席に戻ろうとしたその時、轟くんが口を開いた。

「あいつ………緑谷の知り合いか?」

「うん…!小中と一緒で、ずっと仲良しの友達なんだ。前田祐佳ちゃんって言うんだけど、C組で保健係だからよく保健室にいるんだけど…轟くん覚えてない…?」

「悪い。覚えてねえ。」

轟くんに祐佳ちゃんの事を聞かれてふと思い出したが、以前祐佳ちゃんから『この前A組の轟焦凍くん?が保健室来て、初めてちょっと話したよ。』と聞いたことがあったので、尋ねてみた。
しかし轟くんは覚えていないようだ。体育祭より前に聞いた気がするので、時間も経ってしまっているし、少し話しただけと祐佳ちゃんが言っていたので、覚えていないのも仕方がない。

「緑谷くん!轟くん!前田くんの話はそれくらいにして、チャイムが鳴った事だし席に着きたまえ!相澤先生が来てしまうぞ!」

「うっうん……!二人ともギリギリまでごめんね………!」

そう飯田くんに促されて席に着く。仲良くなったのは最近だけれど、もう僕にとって大切な友人の一人である轟くんが、祐佳ちゃんのことを少し気にしてくれたことが、僕はなんだか嬉しかった。
今度祐佳ちゃんも誘って四人でお昼食べたりしたいなあと考えていると、ガラッと教室の扉が開き、相澤先生が入ってくる。僕はこれから始まるホームルームへ向けて、背筋を伸ばした。


2021/03