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今週も病院へと足を運んだ。
『……学校はどう?』と気にかけてくれるお母さんに最近学校であった事を話す。職場体験や授業の事、そして友人の話をするとお母さんは嬉しそうだった。

ふと思い出して、自主練中に怪我をしたが保健室にいたあいつの個性で治してもらった事を話す。別のクラスだけど緑谷の友達で、それから顔を合わせると話しかけてくると言うと『またいいお友達ができたのね』とお母さんに言われた。そうか、俺もあいつの友達なのか。





電車に揺られながらそんな事を思い返していると、バッグの中に入っているスマホのバイブレーションが鳴った。それを取り出し画面を見ると、先程まで一緒にいた人物の名前が表示されていた。

「(轟くん今日はたくさんありがとう!家で一人ぼっちだから、轟くんとお話し出来てすごく元気でたよ。私にも何か出来ることがあったら遠慮せず教えてね。また学校でも会ったらよろしくね。)」

そのメッセージを読み、律儀なやつだなと思う。
『ママがいないとね、うちの家ほとんど私一人で…………』そう話す前田の表情は不安や寂しさがどこか隠しきれておらず、何となく、お母さんが入院してからの幼い頃の自分を重ねてしまった。

だからつい気になって、俺の方から一緒に帰れると提案しただけなのに、前田は駅まで歩いている最中にも、何度も『嬉しい』『ありがとう』と言っていて。夕日を背負い柔らかく微笑むその表情が、何故か脳裏に焼き付いて離れなかった。

「(来週も週末は俺一人で見舞いに行くから一緒に帰れる。)」

確か姉さんが来週も週末は仕事で行けなそうと言っていたので、今のうちに伝えておく。するとまたすぐ、スマホのバイブレーションが鳴り返事が届いた。

「(分かった!教えてくれてありがとう。また来週帰る時に連絡するね。そういえば祐佳もお姉ちゃんいるよ、一緒だね。)」

最後に添えられた一文を読み、共通点が多いやつだなと感じた。
そしてスマホの画面を閉じてバッグに仕舞い、しばらく電車に揺られ最寄り駅に着いた頃、再びスマホのバイブレーションが鳴る。画面をみると表示されているのは前田の名前。通知を見ると画像が送られてきたようだったので、気になって通知を開く。



「(夕日が綺麗だから轟くんにお裾分け!)」

その言葉と共に、夕日で茜色に染まる空の写真が送られてきていた。空を見上げると確かに茜空が広がっていて、毎週末この時間にあったはずのその景色に、前田の連絡で今初めて気付く。


そしてふとカメラを起動して、空を切り取る。上手く撮れているのか分からないが、なんとなくそれを前田に送った。




2021/03 意外と共通点の多いしょーゆちゃん