終わりよければすべて良し
「最近友達になったんだよ!ね?河南さん!」
「そうだな。ところで名前は何という」
「あれれー?おかしいぞー?」
「河南さん、僕の名前は覚えていますか?」
「大串だろ」
「安室です」
一見の印象は変な人である。少し浮世離れしているとも受け取れる彼女の空気を訝しみながら、佐藤は事件解明の為に本腰を入れる。コナンや安室、ヒカルは真面目に推理しているようであったが、河南は始終つまらさそうにしていた。
事件は混迷を極めていたものの、コナンや安室の機転で絡まった糸は徐々に解けていった。ヒカルはたまに意見を提示したりアドバイスに似た言葉を投げかけたりしたが、河南は事件に関しては一切口出しをしなかった。二人と知り合いだから頭の回転が速いのだろうと思っていたがそういうわけではないらしい。
「お腹が空いたな」
それどころか場違いにも程がある言葉を口にした。
「ヒカル、まだ犯人は分からないのか」
「いや殆ど決まったも同然だけど決定的な証拠がないんだ……ね、安室サン」
「そうですね…何か一つ、抑えられたら…」
「なんだお前ら仲良いな」
「え、そ、そうかな…」
「照れるなヒカル。気持ち悪いぞ」
はぁ、と溜息をつく河南。
「もう容疑者全員逮捕で良いだろう。どうせこの中に犯人がいるんだから」
「いや良くないよ河南さん!無実の人まで逮捕しちゃうことになるよ!」
「私の空腹を満たす為なら一人や二人無実で逮捕されても仕方ない」
「いや切羽詰まりすぎだから!もうちょっと我慢して!」
「でしたら事件解決後、よろしければ僕が何か作りますよ」
「お前の飯は…………………まぁ、良いか」
「なにその間!!」
割って入れない怒涛の会話の中「よし、ではそこの刑事」と突然河南に呼び止められる。不意打ちであったため、佐藤の肩がびくりと跳ねた。
「全員逮捕しろ。それで一件落着だ」
「清々しいほどボクの話聞いてないね!!」
「失礼だな、ちゃんと聞いていたぞ。大串が飯を作ってくれると」
「安室です」
「結局飯の話しかしてねー!!」
何なんだこの人は。
唖然としているとヒカルが「すみませんうちの河南が」とこっそり耳打ちしてきた。
「ちょっと変わってるんです。でも可愛い子なんで」
「え?あ…そ、そう…」
「彼女、一体何なんです?」
「ちょっと高木くん…」
失礼とも取れかねない質問の仕方に待ったをかけたが遅かった。何だ貴様は、と河南は高木に鋭い目を向けた。