するとその日の夜のことであった。
「胆試しするにゃー!」
という菊丸の一言から、胆試し大会が開催されることになった。ルールは二人一組で森の中を歩き、一番奥にある鳥居の前に自分の名前を書いた割り箸を置いてくるというものだった。梨胡がこういった手に対し得意かどうかは分からないが、これは上手くいけばかなり距離を縮めることができる。これは三人とも必死だろうと木手は冷静に分析した。
「………というか梨胡、森の中を歩いても大丈夫なの?」
さらっと彼女の隣に居座る不二には流石としか言いようがない。
「楽しそうだし、私も参加したい」
「クスッ。一緒に行けたらいいね」
不二のその言葉に梨胡は曖昧に、小さく微笑んだ。その様子を横目で観察しながらくじを引く。木手の番号は八だった。
「凛は何番さー!?」
「えっと、十二」
それを聞いて、比嘉一同はバッと梨胡を見る。傍から見ればおかしな光景だろう。
「梨胡、何番?」
「………………はち、だね」
瞬間、木手の背中に痛いほど視線が突き刺さった。
「………永四郎、交換してぃあげたらみ?」
知念の慈悲に満ちた声に、甲斐や田仁志はふんふんと頷いた。
「不二は何番?」
「残念、十二番だよ」
何だその不思議な因果は。木手は心中でつっこんでから平古場に視線を移す。
「…平古場クン、君はくじ通り不二クンとペアになりなさい」
「!?何でか!」
平古場が答えるよりも早く甲斐が訊く。木手は甲斐の噛みつくような目と合わせることなく、ずいと平古場に近づいた。
「たまには腹を割って話し合ってみたらどうです」
「っえ」
「あの二人が何故別れたのか、気にならないんですか?」
「そりゃあ………」
気になるけど、と平古場は目を逸らす。
「梨胡クンのことは俺に任せてください」
「………了解」
「凛!じゅんにゆたさんぬみ(本当に良いの)?」
「永四郎には何か考えがあるんだろ?だったら良いさー」
意外にも素直に従った平古場に驚きながらも、木手は決まりですねと呟いて梨胡を迎えに行った。
焦れったい第三者
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