思わずドリンクを噴き出した。少し離れたところにいる木手に睨まれたがそれどころではない。だって直球すぎだろう。ライバルに核心を突かれて動揺しないわけがない。
「なっ…どっ…おっ…」
「あーあー落ち着いて」
どうどうと宥める白石を殴りたくなったのは仕方のないことだろう。
平古場の心情を察した白石は「あー、あのな」と口を開いた。
「俺らってさ…その、越前さんにさ………まあ惚れてるやん?」
「お、おー」
「俺は単純に俺以外の人が越前さんのどこを好きになったんか気になってさ。要はアレや、恋バナってやつをしたいねん」
恋バナ??平古場の目が点になる。
「わんと?」
「そ、君と。…不二くんにそんなん訊く勇気、流石にないもん」
苦笑する白石に確かになと同意する。白石も平古場もそこまで無鉄砲ではない。
「つ、つーかよぉ」
「ん?」
「訊くなら…やーから言えよな」
自分から惚気るのはちょっと恥ずかしい。白石もそう感じているのか少しばかり顔を赤らめた。とはいえやはり恋バナをしたいのか、一つ二つ咳払いをして「せやなぁ…」と呟いた。
「まず、俺と越前さんが出会ったんは全国大会の時やねんけど」
「おお…わんも」
「マジか!そこでな、俺、怪我した河村くんを介抱したその姿に惚れたんや!分かるか!?あの心配そうな顔俺にも向けてほしいっていうこの心情!」
「分かる!!普段クールビューティーな分、グッとくるよな!」
「そうやねん!俺も越前さんに介抱とまではいかんでも切り傷の手当てとかしてほしい!」
「ふふん。まあわんは絆創膏貰ったことあるけどな!」
「は!?なんやねんそれ!めっちゃ羨ましいねんけど!!」
「はっはっは!」
手当てはしてもらっていないものの、彼女の持ち物を貰ったということは多少なりとも平古場に優越感を与えた。
「越前さん、初対面のわんに怪我してるからって絆創膏くれたんだぜ?優しすぎるさー…」
「ホンマそれ!はー…………普段鉄面皮やからこそ光るよなぁ」
「じゅんにな。そういうところが…………」
そういうところが―――――――。
「…………、」
「………平古場くんって意外と純情やねんな」
「意外って何よ!」
言葉尻に噛みつけば済まん済まんと笑われた。熱い頬を冷ましたいが、方法は見つからなかったのでそのままで白石を睨みつけた。
伝えられないもの
← |
→戻/
top