翌朝、荷物をまとめて平古場は部屋を出た。
「比嘉はもう帰ってまうんかー」
残念そうにそう述べたのは、意外なことに白石だった。正直比嘉と彼が親しいイメージなど全くなかったが、平古場はなんとなく白石に親近感を抱いた。それはやはり梨胡に対する気持ち故か。それとも…。
「また会おな」
「……………おー」
「そない嫌そうな顔せんとってな」
悲しなってまうわ、と笑顔で宣う彼にジト目を向ける。すると不意に、白石の背後に不二を捉えた。そういえば不二とはあの肝試し以来である。少し気まずい。「あ、不二くん」だなんて呑気に呟く白石が羨ましい。
「君とはまた試合をしてみたいよ」
「わんもやっしー。やー、中々面白かったさ」
「ちょ、平古場くん俺と不二くんとの対応の差何なん!?傷ついてまうわ!」
「ふふ、白石は面白いね」
相変わらずの微笑を浮かべる不二に若干恐ろしさを抱く。我ながらよくこの男と勝負したものだ……色々と。「それじゃあね」一言だけ話せて充分なのか、不二はあっさり去った。一体何がしたかったのだろう……思わず白石と顔を見合わせたが答えは出なかった。
「平古場クン!行きますよ!」
木手の声に足はバスのほうに向く。最後、白石に告白のことを訊こうとして…やめた。それは不粋だ。彼がしようがしまいがどちらでもいい。
「ほなな、平古場くん」
「おー」
最後の笑顔は、少し悲しそうだった。
世界はあなたの色になる
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