言いたいことは簡潔明瞭に


 時は少し遡る。敵を一掃した銀時はひと段落ついて息を吐いた。
「銀時、燕殿の許に行こう。まあ斉藤も居るから大丈夫だと思うが」
「……いや、急いだほうが良いのかもしれねえ」
 険しい顔色の銀時に桂はキョトンとする。彼がここまでの顔をするとは意外だと、桂の表情が物語っている。
「何か不安要素があるのか」
「…燕に。ちょっとな」
「どういうことだ?」
 西に向かいながら、銀時は重い口を開く。
「……そもそも燕は何で江戸に来たと思う?あいつは馬鹿じゃねえ。先生を悪く思う奴がまだ幕府に居る可能性がゼロじゃないことくらい、予想できただろ」
「確かに。現に捕まってしまったしな」
「“探しもの”の為にここへ来たと、燕は言ってた」
「探しもの?」
 怪訝に反芻する桂に視線を向けることなく、銀時は思案顔になる。「それは何なのだ?」桂は訊ねると、銀時は「確証は無えが…」と続けた。
「源外の…つっても分かんねーか。燕が働いてるところは絡繰屋でな、そこには精密機械があるんだが、店主が言うにはそこにあるパソコンの一つに履歴が改竄された形跡があったらしい」
「………燕殿がしたのか」
 確証は無えがな、と銀時はもう一度言う。
「どこかに不正アクセスしたのか…」
「或いは知られたくねえ情報を発見したか」
「いずれにしろ今回の件に関係していると、お前は見るんだな?」
「ああ。そしてそれは“探しもの”に関わってる」
 その“探しもの”とは一体何なのか。
 父の拘束。そして戦争。処刑。上京。一連の流れは理解できる。しかし腑に落ちないことがあった。一つ、聞いていないことがある。そういえば彼女の―――。
「………オイオイまさか…っ」
「どうした」
 焦る彼に、桂は冷静に訊ねる。
「ヅラ!お前高杉から燕の母親のこと聞いてねーか!?」
「母親?いや聞いていないが……」
「もしかしたら…っヤベーかもしれねえ!」
 てっきり彼女は父の死のことだけで江戸に来たのだとばかり思っていた。だがそうではない。銀時だって見てきた。攘夷側に居た者の家族がどういう末路を辿るのかを。
 銀時の考えを察した桂は、顔色を青くする。
「いや銀時、燕殿はそんなっ」
「あいつ行動力あるし考えられねーことじゃねえよ!とにかく急ぐぞ!」
「ああ!」
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