帰りたい、そうぽつりと溢した瞬間、ルキノさんの纏う空気が冷たくなったように感じた。チラと彼を窺うと、いつもと変わらない様子であったため胸を撫で下ろす。
「少し、此処で待っていてくれたまえ」
ルキノさんはそう言い残すと部屋から出て行った。部屋の主が不在の中、私は先程の自身の言葉を思い出していた。聞かれてしまっただろうか、しかし閉ざされた荘園を出て故郷に戻りたいのは本心だ。
暫くの後、ドアが開く音……そしてガチャリと鍵が掛かる音が聞こえた。
「すまない、準備に手間取ってしまって」
「準備?」
「顔を上げてくれるかね」
ルキノさんの言葉のまま、ゆっくりと上を見る。彼の手が首に伸ばされ……触れたと思うとずっしりとした重みを感じた。
「ああ、やはりナマエに似合うな」
「ルキノ…さん……?」
「最初からこうしておけば良かったんだ」
ルキノさんは私を見て、それはそれは嬉しそうに笑った。
「ここにいてくれ、永遠に」