永遠をくれる

「躾のなっていない子は好きじゃないんだ」

試合中ジョゼフさんがそう他のサバイバーに呟いているのを聞いてしまった。その言葉はまるで毒のように私の中に拡がっていく。私は躾がなっている“良い子”だろうか。
普段の言葉遣い、所作、服装……努力で変える事が出来るものは全て変えた。少しでも上品に見えるように、彼に好かれるように。
そんな馬鹿な事をせずに貴女らしく過ごせばいいと言ってくれる人もいたけれど、私はジョゼフさんに良い子だと思われたい。行き過ぎた私の様子に一人、また一人と彼らは去っていった。
だけど私は幸せなのだ、だって隣にはジョゼフさんがいる。こんなにも幸せなのに、今から終わりを想像して恐ろしくなる時がある。弱音を零すと彼はスっと目を細めた。

「私がナマエを永遠にしてあげよう」

いつの間にか写真機が目の前にあって、ジョゼフさんがそれに触れた瞬間、私の意識は闇へ落ちていった——。