誰と重ねる?

※実装順で魔トカゲが先に荘園にいた世界線
 少し暗い

今日の夜は星が降るらしい。流星群は凶兆と言われているが、あんなものはただの事象だろう。しかしその事象が美しく人の心を魅了するからこそ、ある種の恐れを抱くのだ。だが美しさは紛れもない本物で、私はそれを理由にナマエを星見に誘った。
ナマエは私にとって大切な人で、彼女自身も私に対して特別な思いを抱いていてほしいと願ってしまう。
私の誘いにナマエは仄かに微笑むと、折角なので屋根上で見ましょうと答えた。彼女のその言葉に僅かな引っ掛かりを覚える。屋根上という危険な場所をナマエが提案した事、それがまるで何とでもないように告げた事が違和感の要因だった。普段のナマエは怖がりで、自ら高所を提案するようには思えなかった。
だが折角ナマエと二人っきりになれたのだ。この機会を無駄にするような私ではない。屋根に上がって星を共に見始めれば、先程までの違和感も薄れていた。それよりも彼女との距離が近く、結果的に良かったと…そう思う事にした。

暫くナマエと共に空を見ていると、一筋の光が流れた。星が降ったのだ。チラリとナマエの方へ視線を遣る。するとナマエはゆっくりと口を開き、音を溢す。

「今年も貴方と一緒に星が見れて良かった」

ナマエに対する違和感がもう無視を出来るものではなくなってしまった。考えまいとしていた悪い予感が、目の前を塗りつぶしていくようだ。

「君は……私を誰と重ねている?」

私の絞り出すような声に、ナマエは此方へと振り向いた。いつも通りの彼女の様子に、私は息を呑む。

「……ルキノさん、ですよ」

星がまた一つ空から落ちる。薄らと笑みを浮かべそう告げるナマエは、美しかった。