鱗を数える

「ねえ、ウロコの数、数えていいですか?」

彼女のそのお願いに二つ返事で応えた私であったが、少し後悔している。最初は少し離れたところから数えていたらしい彼女は、いつの間にか私の真横に座っていた。それだけならまだ良かったが問題は彼女の行動にある。

「ふふ、ここにもある」
「ナマエ……その、指でなぞる意味はあるのか?」
「だってこっちの方が分かりやすいから…」

私の思いは伝わる事なく、彼女は数えるのに夢中なようだった。彼女には下心がある訳ではないのは知っているが、情けない事に私に“そういう気持ち”が芽生えてきてしまっている。いくら普段まわりから良識がある(実際の事はさておき)大人だと何だと言われていても、私も一人の男である。愛おしい彼女にここまでされて疾しい感情を抱かないなんてどうかしている。

「あっ、えーと……ありがとうございます」

彼女の手が私の胸板を滑りかけて、止まった。そしてそっと離れていくのを、私は掴んで止めた。彼女の身体が一瞬跳ねたのが分かる。

「満足したかね?」
「ええ、満足…したので…」

手を離してくれ、そう彼女の目が訴えている。いつもなら離していたが、今日はもう良識のあるルキノ教授はいないのだ。私をそうしたのは彼女だ。

「まだ、数えていない場所があるだろう」
「それは…」

私は彼女の手を引き、再び先程の場所へと戻す。彼女の瞳が揺れる。頬に朱が差しているのが見て取れた。私は何も言わず、じっと彼女を見つめ続けた。

「いいん、ですか?」
「ああ、存分に…君のお気に召すままに」

彼女の手が、私の肌を滑った。