ルキノさんがクリスマスを模した衣装を着ているらしい、そんな噂を聞いて彼の部屋へと押し掛けた。そして確かに噂通りであったけれど……
「ルキノさん、いつもと違いませんか?」
「荘園の主に着ろと脅されてね……私も好んで着ている訳ではないのだが」
「いえ、服じゃなくて……」
「ああ、私自身か」
自身の装いを軽く引きながらルキノさんは不本意だと答える。しかし、それが私の望む答えではないと気が付いたのか、彼は納得したかのように頷いた。
「君は人間の私を知っていたのだったかね?」
「人間……ええと、教授ですよね」
「そうだ。今の私の状況を簡単に説明すると、彼から魔トカゲへと進化している最中といったところだ」
「最中?」
「何らかの力に一度退化したが、私の身体は再び進化したという事さ」
ルキノさんは事も無げに人からの進化途中だと言った。すでに魔トカゲになっていた彼がどうして再びそんな状況なのかは、どうやらルキノさんにも分からないみたいだ。正直違和感はあるが、本人が大事として捉えていないようなので取り立てて言わない事にする。
「身体に違和感とかないですか?」
「違和感? 依然経験した時よりかはマシだが……痛みがある。それくらいだよ」
「痛み!? 大丈夫なんですか?」
サラッと告げたルキノさんであったが、痛みと聞いて流せる訳がない。どこが痛いのか、どれくらい辛いのかと慌てる私に、ルキノさんは軽く笑い頭をそっと撫でた。
「心配しないでくれ。大丈夫、一度経験した痛みだ……慣れている」
「でも…痛いのは本当なんですよね…」
「……そうだな」
そう言うとルキノさんはしばらく考え込む素振りを見せた。そんなルキノさんの様子にどんどんと不安になっていく。エミリーでも呼んできた方がいいんじゃないか、そこまで考えが及んだ時だった。ルキノさんがパッと顔を上げる。
「それでは、私が痛くて泣いてしまわぬように……君が側で見ていてくれるかね」
「私が…? エミリーを呼んで来なくて大丈夫?」
「呼ばなくていい。私にとってナマエが何よりの特効薬なのだから」
ルキノさんはそう緩やかに笑った。