──ひとつ、真一郎君は
その日になったらどこかで新聞を買って、お悔やみ欄でも見てみるか、なんて。正しく、対価以上でも以下でもない薄っぺらな感情は忘れることにした。
前回で圭介とそのお友達がやらかしたことは、何となく知っている。ここを阻止することができれば、マイキーが稀咲に付け込まれたそもそもの抗争の理由は存在しなくなる。圭介がそれに巻き込まれずに済むのではないか、そう考えたこともあった。
あったが──何せこのタイミングで生かすべき相手は、私の母親にゾッコンだった真一郎君だ。直接良くしてもらった記憶から嫌いではないとはいえ、人間として手放しで好きだと言える立場でもない。自分の母親を好きだった挙句、母親相手に告白20連敗なんて記録を叩き出した男とか、どうしたって好きになれる部類の人間ではないだろう。
真一郎君が死ななければ、私の知る未来ではなくなる。その場合いつ圭介の身に危険が及ぶかが分からなくなり、対策も立てようがない。だから、なるようになってもらうことが一番──私の計画の中では、安全牌だったのだ。
そんな人でなしなことを悶々と考えつつも、真一郎君に語り尽くした愛機を六本木に向けて流していれば──途中、見知った顔を見つけた。兄も居なかった六本木で一度伸してからは六本木では見掛けなくなった人達が、不良でもない、前回では友達だった女の子に絡んでいたのだ。
コレが顔を合わせたくないと思っていた幼馴染の誰かでなかっただけマシなのだろうか。それにしたって。
帰りがけに見てしまった「それはナシだろ」とも言いたくなる光景に、フルフェイスの中で盛大に溜め息を吐いた。歌舞伎町では半間と楽しく遊び倒して、
そのまま放置して帰ることは簡単だ。前回通りに行けば数日の命な真一郎君のことだって、色々考えた末に直接の介入はしないと決めたのだから。
けれど相手は、曲がりなりにも六本木に居た不良なわけで。女の子の相手の仕方なんてモノを知っているはずもない。むしろ、六本木でも一際鬱陶しい絡み方をしていた部類な覚えもあって。
彼らが居る公園を暫く眺めて、眺めて。それから、改造段階でマフラーを外さなかった比較的静かな単車の前輪を浮かせた。つまりはかつて、間違いなく仲良くしてくれた友達を見捨てて帰る、なんて選択肢は選ばなかったわけだ。
もちろん──理由はそれだけではなかったが。
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