──2005年7月7日
件の渋谷三中をシメている三年が、間違いなく東卍の隊員であると調べがついて。かつ、喧嘩賭博なるものの主催であると分かったからには──まァ、端的に言えば、こちらで『弱み』を捏造せずとも済むというわけで。
裏を取って、その後で東卍と関われないこともない人間に向け、人伝に「
その辺の東卍構成員ではなく、わざわざ、東卍とは特に関係のないマイキーの同級生を狙って噂を流した。それもこれも、下手に東卍に所属している奴に流して、隊の中で収められてしまわない様にするためで。なおかつ、稀咲からの指示に頷いた以上、総長を引っ張り出さないと意味がなかったからで。
東卍構成員の報告は、まず間違いなく各隊長に行く。元より、
他の東卍構成員に流して、内輪揉めの仲裁専門の隊に回されることだって、総長が出てこない可能性を考えれば避けたかった。他にも理由はあるが、だからこそここまで回りくどい手段を取ったのだ。
物怖じせずにマイキーと話せる同級生──とは、それなりに厳しい条件ではあったものの。学年の一人か二人であれば、怖いもの知らずだって居ないこともないのだ。不良ではない弟妹が居る不良なんていくらでも居るのであるし。
結局のところ、個人的には微妙に使いたくない巴琉兵梦のツテではあったのだが。そこはそれ、使えるものは使うべきだと割り切った。
──そうして私は、喧嘩賭博の会場近くまで足を伸ばしている。ここで張るのは渋谷で彼らの手当てをした翌日から数えて今日で三日目だ。
手当てをした当日の夜には東卍を自称していた人達の正確な素性を調べ上げ、具体的にはどこで何をしているかの裏を取り。翌日には、正確な状況を見るための偵察をして。
その日の夜に話を流したからには──勝手にチームの名前を使っている以上、早ければ今日にもシメに来るのではなかろうか。マイキーとて、あまり放置しておきたいことでもないだろう。
さて、昨日はタケミチ君がワンパンされていたが、今日はどうなるのだろうか。
裏を取るついでに彼らの周辺を調べた限り、どう考えても
とはいえ、喧嘩賭博の中身については私には何ら関係のないことだ。馴染みの和菓子屋で買い込んだどら焼きを片手に呑気に観戦を決め込んでいれば──どうも途中で、雲行きが変わった。
昨日にワンパンされてシメられたばかりのタケミチ君が、喧嘩賭博を仕切っている清水相手にタイマンを申し込んだのだ。
半間と一緒になって『あの程度』だと嘲っていた清水が相手でも、あの日と昨日にボコられていたタケミチ君であればその戦力差は歴然だった。階段の手摺りに頭を打ち付けられ、容赦なく顔面を殴り飛ばされて。それでも曰く、譲れないモノがあるのだと言って何度も立ち上がる。
その様子に、意識する間もなく乾いた笑いが溢れ出る。遠慮も品もないヤジが飛び交っていた賑やかな賭博場の空気は、一発も反撃できずにボコボコにされている彼一人に塗り替えられてしまった。完全に呑まれてしまったのだ。
クソ──クソ、吐き気がするな。
一度ゆっくりと息を吐いて、それからまた、ゆっくりと息を吸う。それだけでは誤魔化せなかった吐き気はもう、この際どうでもよかった。
どれだけ目を逸らしたところで、その行動原理は私と似て見えてしまったのだ。つまりは、大切なモノを二度と失わないために、無様にも足掻く人間のソレで。
数日前の直感通り、
「あんなン無理ゲーだろ……」
せめていつかは、彼の目的だけでも聞き出さなければならない。順当に行けばアッくんか山岸君かマコト君か、タケミチ君と幼馴染であるらしいタクヤ君か。それとも彼女であるらしいヒナちゃんか。
どう考えを巡らせたところで、清水を基準に東卍を語っていた以上、マトモな東卍の知り合いも居ないのだろう。つまりは──彼の目的が圭介であるはずもなく。
願わくば、彼の過程で同じ目的を持ってくれたら、それで。思い浮かんだ切実な願いが叶う天文学的確率に苦笑をして、とうとう今は何も見たくないと目を閉じた。誘導するか、それとも──
──殺して、しまうか。
しばらく目を閉じて、耳だけは音を拾っている状態で頭を回していた。視界の外では、想定通りに現れた東卍の総長直々に──というよりも、記憶に違わずマイペースな総長に代わって、お世話係兼副総長が先陣を切り、興も乗ったらしい総長が場を収める。これで喧嘩賭博の件はひとまず終結だ。
状況としては可もなく不可もなく。ひとまずのところは、そろそろ会場を離脱するであろう二人組に顔を売っておくことができれば、それで。
さてどうしたものか、なんて。ゆるりと瞼を持ち上げれば──少し離れた場所で立ち止まり、こちらを凝視している小柄な金髪と目が合った。
「……どら焼き」
「マイキーコラ、人様のモンに手ェ出すな」
──何か、すごく見られている。比喩ではなく心臓が止まるかと思った。見たままの明らかな不良少年達の間で小声で交わされる「やめとけ」「でもどら焼き……」「いいから帰るぞ」のやり取りに、ずっとマスクの下を晒し続けていたことすら忘れてしまったのも仕方ないだろう。
いやでも、そもそも。私がわざわざここで張っていた目的は、間違いなく彼らに顔を売るためなのだ。こちらから声を掛けずとも、千載一遇のチャンスが巡ってきたということで、まァ。
せっかく買ったどら焼きを譲るつもりは微塵もなかったのだが。それはそれ、必要経費だということにしておこう。そう思わないとやっていられない。
「佐野万次郎と……そっちは龍宮寺堅ですね」
「へえ、オレらのこと知ってんの?」
「はは、この辺りで不良やってて知らないのは余程の情弱か記憶喪失だけですよ」
「……誰だオマエ」
それまでの駄々っ子と酸いも甘いも噛み分けた親の様な空気感から、揃って一気に臨戦態勢になった好戦的な東卍ツートップに苦笑しつつ。彼らの問いかけを無視して「焼きたてですよ。食べますか?」なんて言って、どら焼きが入った紙袋の口を向ける。
そうすれば──面白いくらいに釣れた。それも、総長の方が。
いや、そこは釣れたらダメだろ。こいつの警戒心はどうなっているのか。よくそれで総長が務まるな。
なんとなく、段々と
「やめろマイキー!! こんな胡散臭い奴から食いモンなんかもらうな!!」
「ついに胡散臭いって言ったな? つーか何も変なモンは入ってねえって。コイツも食ってたじゃん」
「……まァ、これは本当に餡子しか入ってませんけどね」
「何餡?」
「ずんだ餡です」
「へえ、珍し。どこで買えんの?」
「そこの通りを曲がった和菓子屋ですね。新作らしいですよ」
「美味い?」
「……ふふ、ええ、それはもう」
そろ、と伸びたマイキーの手から逃げるように「まだあげません」なんて笑って。どら焼きが入った紙袋を頭上へと高く上げれば、跳ばなければ届かないマイキーからは、見るからに不満そうな表情を向けられた。
いや、そもそも名乗ってもいないこんな怪しい奴から無警戒に食べ物を貰うな。その辺りは龍宮寺に全面同意なのだ。どう見ても未開封で何の細工もできない
改めて旧姓と、心の底から不本意ながらもあだ名の方を名乗れば、即座に龍宮寺の方から「堕天使が渋谷に何しに来た」と鋭い視線が飛んでくる。なるほど、私を知っている人間であれば当然の反応だろう。
それから──龍宮寺の隣でずっと記憶を探る様に首を傾げている、マイキーのその反応だって当然なのだ。マスク、は既に外していたか。鼻の辺りで空振った指を誤魔化すように薄く色の付いたサングラスを上げて、ついでとばかりに下ろしていた前髪をかきあげて。顔面の全てを晒せば──少しの間の後に「あ」なんて声も聞こえてきて。どうにか思い出してもらえたようで何よりか。
「もしかしてレンレン!? 生きてたんだ!?」
「は……?」
「ピンポンピンポン大正解ー! 見ての通りすくすく育ちました!」
「マジじゃん身長抜かせてねえ! つーか何しに戻って来たの?」
「おや、勘の良いマイキーでも分かりませんか?」
「……え、久々にやる!?」
「最高! そのつもり!」
「ハ?????」
完全に乗り気なマイキーを満足気に見て、何が何だかさっぱり分かっていない龍宮寺にどら焼きの袋を押し付けた。悪いね、後でちゃんと説明するから。
何せ、幼馴染が相手であれば肉体言語が一番手っ取り早いのだ。これに関してはマイキーにも圭介にも春千夜にも、果ては千咒にだって境はない。例外はスコティッシュフォールドみたいなエマだけだった。あとは全員子ライオンだ。同じネコ科でも大違い──と、コレはどうでも良すぎるな。
適当な口上として「此処で会ったが百年目!!」と、マイキーに突っ込んで行った私は──まァ、マイキー相手でも善戦したとだけ言っておこう。当然揃って昔よりも強くなっているが、所詮は子ライオン
とはいえ、トレーニングと体の動かし方の研究を繰り返していた甲斐はあったか。今のマイキーの腕の最低ラインも分かったことであるし、六本木に戻ったら
それから、私をサクッと転がしたくせに「相変わらず喧嘩
──クソ、普通に悔しい。素直に褒められはするが、結局の勝率は昔からそれほど高くないのだ。それこそ、ずっと力負けしていた。
そうして。地面で悔しさを抑えている間にも「つーか何その口調、違和感ありすぎてキモい」なんてシンプルな暴言まで聞こえてしまって──一瞬で頭に血が昇った。
なるほど。自分で分かっていることでも、面と向かって言われると腹は立つものであるらしい。
即座に飛び起きて、じゃれあいの二割増しで蹴り掛かった私と──明らかに目の色を変え、それはもう楽しそうに応戦するマイキーと。そんな私達が飽きるまで大人しく眺めていた龍宮寺の目が諦めで死んでいたのは、きっと気のせいではなかった。
「ケンちーん! こいつレンレン! オレの幼馴染!」
「よろしくお願いします」
「……………………最初に説明しろ!!!!」
「はは! すみませんケンちん」
「ドラケンって呼べ……!!!」
「了解しました、龍宮寺」
「……………………もう、それで良いか」
顔を覆って溜め息を吐いた龍宮寺を横目に、マイキーと二人でケラケラと笑う。「お近づきの印に」と少し冷めたどら焼きを龍宮寺に渡せば、マイキーからの紹介もあってか、微妙そうな顔のままでも比較的素直に受け取ってもらえた。
マイキーは私から渡さずとも自分で紙袋に手を突っ込んでいた。コイツはそういう奴、気にしたら負けだ。
マイキーに取られないうちにと、揃ってもそもそとどら焼きを食べていれば──丁度食べ終わった頃、龍宮寺が小さく「ン……?」と声を上げた。直後に私の方に視線を向け「聞いていいか?」と言われたからには、まァ、私への質問なのだろう。
「マイキーのお友達ですからね。答えられるものであれば対価なしで構いませんよ」
「対価……つーかレンレン、ってどっから生えたんだ……?」
「マイキーみたいなアレですよ。ロー
「なるほど……?」
「……ケンちーん、レンレンのフルネーム、左衛門三郎蓮ね。サブローまでが苗字なんだよ」
「は?」
刹那に、私が誤魔化したところを容赦なく暴露したマイキーの頭を上から押し下げた。
抵抗する様に「ローレンスだってそもそも蓮の音が元だろ」なんてことを言い出すマイキーの頭を掴む手に、それまで以上に力が入ってしまったことだって致し方ないだろう。この野郎、人がわざわざ言わなかったことを。
確かにローレンスの名前は、エマからは既にレンと呼ばれていたからこそ、私が仲間外れにならないようにとエマが考えてくれたものではある。その三日後には誰も呼ばなくなったが──まァ、その話はいいのだ。
確かに、マイキーに口裏を合わせろとも言っていない。それもこれも、先んじてマイキーに口止めをしなかった私の非だ。口止めなんてものをする暇すらなかったのだが。
とはいえ、それはそれ。人がわざわざ秘密にしていることをペラペラと喋るのはどうかと思う。デリカシーのないところまで真一郎君を見習わなくていいだろうが。
けれど、まァ。呆気なくバラされてしまった現状で、どうにかして龍宮寺からの信頼を勝ち取るためには──ウン、もう何でも良いか。
少し肩を落として、手袋を着けた手で顔を覆って。ゆっくりと溜め息を吐けば、あとはなるようになる。
「……色々あって普段は苗字しか名乗ってないんです。適当にサブローとでも呼んでください」
「おお……サブロー? も苦労してンだな……」
「…………はは、すみません。助かります」
──これで、龍宮寺と同じくマイキーに振り回されている人間として、同情も含んだ信頼が勝ち取れるはずだった。
元より、龍宮寺から見た私は、自分のところの総長が無視せず絡みに行った幼馴染だ。疑念を抱かれそうな逆境も、立場を存分に使ってチャンスに変えて。より有効に立場のアドバンテージを活用できたと──そう、思ったのに。
「ちなみにレンレン、エマの初恋だから」
「あ゙ァ!?」
「あはは! マイキーこの野郎、そんなに殺されたいンなら早く言ってくださいよ」
ある種同類を見るような生温さすらあった龍宮寺の視線は──マイキーがブッ込んだ話のおかげで、一気に険のあるものに逆戻りしてしまったというわけだ。どうもこの様子であれば、龍宮寺はエマのことを少なからず想っていそうで。痴情の縺れで敵認定とかマジで勘弁してくれないかな。
「最初は『エマの王子様なの!』って言われてたよなー」
「あー……ウン、そんなこともありましたね……」
「何か急に言わなくなったけど。アレって何で?」
「さあ……幻滅したんじゃないですか?」
「レンレンに? 何で?」
「知りませんよそんなこと」
エマが私を自分の王子様だと言わなくなったのは、当時は短髪だった私の性別に途中で気付いたからだった。
だからというか、マイキーに言ったような幻滅とかそういう話ではないことは、エマ本人からも直接聞いているが。ついでに言えば、エマにとっては『エマの』王子様でなくなっただけなのだが。小っ恥ずかしいからこの話はやめだ。
「……ってかそのパンダみたいな呼び方やめてください」
「良いじゃん、お助けパンダっぽくて」
「何ですかそれ。せめて客寄せにしてください」
「客寄せは良いんだ?」
「この顔で客寄せできないと思います?」
「出た。ワカくんお墨付きの顔面の話。まだ言ってんの?」
そうして、タイムリープを繰り返しているせいでもう随分と遠い記憶になってしまったいつかの様に、マイキーと言葉を交わして。その間にも視線で刺してくる龍宮寺には「昔の話ですよ。マイキーですら会ったのは低学年以来ですし」と言い訳するに留めたのだ。
──本当に、エマとはもう何年も会っていない上に、初恋だって丁寧に砕いたのだから。そんな嫉妬と憎悪の籠った目で私を見るな。私を痴話喧嘩に巻き込むな。
それから、徐々に険悪な雰囲気も萎んでいく龍宮寺を交えた三人でお喋りをした。話の流れで連絡先も交換できて、別れ際の二人に「諸々、あまり口外しないでくださいね」と釘を刺すことを忘れなかっただけでも重畳だろう。
マイキーの口の固さは微塵も信用していないが、龍宮寺に関してはマイキーよりも信用できると見たのだから。──もちろん、エマに関わることでなければ、の話だったが。
六本木へと戻る途中、立ち寄ったコンビニの影で携帯を操作する。少ないコール数で出てくれた辺り、あちらも何かをしていたわけではないのだろう。
『──どうした』
「例の件、総長への認知も含めて完了しました。追加の収穫は副総長の連絡先ですね」
付け加えた「使うかは微妙ですけど、持っていて損はないでしょう」と言えば、電話口からは素っ気なくも満足気な「よくやった」の声が聞こえてきて。片眉を上げたのは反射だった。
何せ、私を舎弟にすることは『願い下げ』であるらしいのにも関わらず、飼い主としての振る舞いが板に着きすぎているのだ。ダチの建前はどこに捨て置いたのか。
意識しているのかいないのか、それすら分からない振る舞いに乗って「褒美として少し語らせていただけますか?」なんて返すと、面倒そうな舌打ちと共に通話をブチ切られて──思わず、少しだけ笑ってしまった。やはりこの設定は色々と都合が良い。兄様々だ。
さて、言わずもがな、今回私が動いた裏には稀咲が居る。私が回りくどい手段を使ってまで総長クラスを引き摺り出そうとしたのは、別に顔を売ることだけが目的だったわけではないのだ。
元々は素でチームの方針に合わない行動をしていた、後のターゲットでもある林田率いる参番隊の人間を、総長クラス直々に東卍から孤立させ、
ここからは稀咲と、今日も会ったダサいことは嫌うらしい彼らがどうにかしてくれるはずで。ひとまず私の、
あとは──そうだな。前回では知り合う前に死んでいた龍宮寺とも接触できたことだ。これまでの反省と、今後の動き方を見直しておくべきか。
前回の流れをなぞって龍宮寺が死んだ場合は、大枠では前回通りの動きをすれば良い。直前に圭介が死なない様に気を張って動くだけで構わないのだ。問題は、おそらくタイムリーパーであろうタケミチ君が譲らずに龍宮寺が死ななかった場合で。
そもそも、稀咲による東卍乗っ取り計画は、龍宮寺の殺害だけを
東卍創設メンバーの一人である林田を少年院にブチ込む計画に関しては、詳細を知らされているどころか、意見を求められた箇所もあった。それらが上手くいかなかった場合の代案だって、詰めの作業に関わったほどだ。にも関わらず、龍宮寺の殺害だけを知らされていない。
ただまァ──一応、その理由も推察できないこともないのだが。
どうも稀咲は、私が殺し自体を嫌うと思っているらしく。コレは十中八九、これまでも証拠隠滅もできない殺しだけは頑なに断っているからだろう。懇切丁寧に説明したはずなんだけどな、とは、もうかなり早い段階で諦めたことだ。
ともかく、つまりは愛美愛主の
つまるところ、元より構成員のやんちゃを見逃す立場である、中枢に食い込む必要がある。
「ふむ、」
であれば、やはり現状の愛美愛主には入らなくて正解なのだ。稀咲の思惑が成功すれば、前回同様その後できるチームにおいて、稀咲の計画すらもを変更できる立場に就く。タケミチ君に限らず、居るかもしれない私以外のタイムリーパーの介入によって稀咲の思惑が失敗すれば、次の計画に乗る。
仮に愛美愛主で失敗したとき、私が味方に居なかったからこそ失敗したと思わせることができたら──まァ、中枢の立場は安泰だろう。途中の軌道は都合の良いように逸らしつつ、直前までは基本的に前回と似た流れになる様に動く。今まで通り、ひとまずはこの方針で良い。
行動指針が定まったとして、そのままルンルンで帰路に着いた。途中でマイキーから東卍の集会場所と時間、それから『エマにも顔見せてやってよ』なんてメールが送られてきていて。
まァ、現状、極力顔を合わせたくない圭介は集会を出禁になっているとは調べが着いているから。マジであのバカは何やってンだ、とは思いつつも、気が向いたら行く旨を返信したのだ。
──あれ、そういえば。さっきはマイキーとは普通に殴り合いをしたし、龍宮寺にも特に止められることはなかった。明らかに真一郎君を指針のひとつに据えている彼らの基準で行けば、女を殴ること自体がダサいはずではないのだろうか。
不良としての私の噂と、私がエマの初恋だと知ったときにあれだけ警戒していた龍宮寺は、きっと上手く誤魔化せているのだろう。私が女だと分かっていたら、あんな恋敵を見るような視線はそうそう向けられないはずなのだから。
それでもマイキーはどうなのだろうか。もしや幼馴染すら誤魔化せてしまっている可能性も──いや、流石にそれは、ないよな?
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