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※高専時代


マカロニが足りないから買いにきた。それだけ。
ほんとにそれだけのつもりだったのになぜわたしのカゴの中はお菓子やらジュースやらで溢れているのか。

「五条くん……自分で買いなよね……」
「え〜〜いいじゃんケチ!」
「五条くんは五条家のボンボンで特級!わたしは平民で3級!!そしてこの状況!!!どっちがケチだと思う!?」
「そりゃ名前でしょ」
「カ〜〜ッまるできいてねえや!」

何言ってんだコイツみたいな顔を作っているがこの男、確信犯である。
もうカゴ持ってるのしんどいレベルまで来たので大人しくカートのお世話になることにした。こんなはずじゃなかったのに……
カートを取りに一旦入り口まで戻ることを伝えると「弱っち〜!」と揶揄われた。じゃああんたが持っててよこれ……と呟いたのは聞こえないフリをされた。てか女子にカゴ持たせて自分は手ぶらってどうなの?
しかもカートになった瞬間に率先して運転(?)し出すとか子どもか。
まあお坊っちゃんだからカート使うこととかあんまなかったんだろうね!このやろう。

五条くんを睨みつけながらレジの列まで来たところで牛乳が切れてたのを思い出した。

「ごめんちょっとカートお願いできる?すぐ戻る」
「おー」

牛乳コーナーがすぐそこだったから思い出せたけどこれこのまま帰ってたらまたここまで来なきゃだったのか……とか一瞬思ったけどこの疲労の7割はここで五条くんに会ってしまったことが原因だな。わたしの命運は既に尽きていたのだね……

いつもの特濃を1パック引っ掴んで列を見ると五条くんはもうレジでお会計をするところだった。
どうでもいいけど190近くある不思議な髪色のイケメンすごいわかりやすいな。一発でどこ居るかわかるじゃん。うける。人間GPSじゃん(?)

「あ、すみませんこれもお願いします!」

レジのおばちゃんに特濃を差し出してお財布を出そうとしたらそれより先に五条くんがカードを出して支払ってしまった。

「ごめん牛乳とマカロニの分返すからレシート頂戴」
「いーよ別に。本気で払ってもらおうと思ってなかったし。」

あんなやりとりをしておいてこうサラッと格好つけてくるあたりがずるいな……正直なんかキュンとしたのは黙っておこう。

「その代わり今から名前の作る飯食わして」

前言撤回。やっぱこの男タカりに来た。


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「めっちゃいい匂いする〜腹減ってきた」
「はいはいどいたどいた」

五条くんはわたしが作ってる途中もずっと周りをうろうろしてるから邪魔でしょうがない!と言おうと思ったけど目の前でグラタンができていくのを割と真剣に目を輝かせて見ていたのでその言葉は呑み込んだ。

「熱いから気をつけてね」
「へーき。俺無下限あるし。」
「それじゃ食べれないじゃん」

いただきまーす、と二人揃って手を合わせる。あの五条悟もこういうとこはちゃんとしてるんだなあ、とか思ったりしながら口に入れたグラタンは我ながら結構いい感じにできたと思う。うん、おいしい。チーズも焦げ付きすぎてないし。

「うま。名前、見た目の割に料理できんだ」
「オウ喧嘩売ってんのか」

一言余計なのは気になるが五条くんに褒められること自体そうないことなので割と嬉しかったりする。いつもは呪術師としての実力の差をイジられたりしてるから余計に。そりゃあんたと比べたら世の中全員ザコしかいないでしょ。

「グラタンって寮でも作れるの知らなかったわ」
「耐熱容器とトースターがあればね。オーブンとかで予熱できたらもっといいんだけど……流石にそれは贅沢すぎるから一人暮らしまでお預けだなあ」
「じゃあそれ俺が買ったらもっと美味いグラタンが食えるわけだ」
「理論上はそうなるね」
「オーブンあればもっといろんなのここで食えんだ?」
「材料と時間次第だねえ……」
「で、次は何作んの」

わたしが五条くんにご飯を作る会が毎週恒例になった瞬間であった。

五条悟とグラタン

ちょっとは手伝え!