碧落ラストコネクション


「…………今日から仲間になります…ソレイユ・オレンジです…よろしくお願いします……」

リビングに戻って仕切り直し。
再びソファに座って“碧”の3人は新メンバーを歓迎した。と言っても、棒読みで言うソレイユに拍手するのはシアンだけである。


「ソレイユくんはこれで“碧”メンバーNo.4なのです!」

「えっ…僕4番目?他にメンバーいねぇの?」


ソレイユはてっきり、他にも沢山のメンバーがいるのだと思っていた。“世界最凶”の犯罪者が立ち上げた組織なんて、下級罪人からしてみれば喉から手が出るほど欲しいだろう。


「さっきもゆーたやろ?特に大きな行動も起こしてへんねん。ちなみにオレはNo.3〜」

「そしてもちろんNo.1はこの組織のリーダーであるシアンなのです!!」

「人数少ないからってメンバー探ししてんのよ。でも見つからないから、アンタみたいなクソガキ誘拐するくらいに落ちぶれたって事よそこのアホ面は」

「アホ面とは何ですか!!」


マゼンタの言葉にシアンは頬を膨らます。
ソレイユも彼女の言葉にムッとしつつも、メンバー全員をS級犯罪者にするつもりなのだろうかと考えた。だったら自分を半ば無理矢理メンバーに入れたのもまだ納得がいく。


「じゃあ、僕がエメラルドストリートにいるって分かってて来たのか?」

「えっ、いえそれはたまたまなのです」

「えっ」


暫し沈黙。
ソレイユの脳内には、だったら何故自分を誘拐したのかという疑問だけが渦巻いた。そんな脳内混乱状態のソレイユに、サルファーが尋ねる。

「なら逆に聞くで。お前は何でエメラルドストリートにおったんや?」

「え…エメラルドストリートに“紅の修羅”が現れたって噂を聞いて…」

「それな、ニセモノやねん」

「は…?」


ソレイユは“世界最凶”の称号を手に入れるため、“紅の修羅”を殺そうと前々から計画を立てていた。結果、見事に人違いをした上に本人にボコボコにされたわけだが。


「シアンがあそこにいたのは、シアンのニセモノがエメラルドストリートの秘宝を狙っているって聞いて、真実を確かめに行ったのですよ〜」

「秘宝ってあの…大樹に宿っていると言われている…?」

「そう!そのエメラルドなのです!!」


秘宝──世界に12しか存在しない、特殊な力を持つ石。
エメラルドもその1つで、その石が街の名前の由来にもなっている。“癒し”の力を持つエメラルドは、エメラルドストリートの住民や観光客の心を穏やかにし、その為か争い事も少ない。


「じゃああの噂は嘘だったのかよ…」

「シアンはマゼンタみたいに目立ちたがり屋ではないので、わざわざそこにいますよ〜なんて言わないのです!」

「ちょっとそれどういう意味よ」


マゼンタに睨まれても全く動じないシアンに、ソレイユは流石と思った。話を聞く限り、本当にたまたまだったらしい。それでもやはり誘拐されたのは事実で、納得はいってなかった。
逃げられない事へのせめてもの抵抗にと、ソレイユは不貞腐れた表情でシアンを睨んで言った。


「で?結局そのニセモノは見つかったわけ?」

「………………あっ」

「…アンタ何しに行ったのよ」


……コイツ、本当に“世界最凶”なのか?
ソレイユは頭を抱えた。


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