碧落ラストコネクション


あれから暫く経って19:00になり、晩ご飯中の“碧”一行。まるで普通の家庭の日常のように過ぎていく時間に、ソレイユはまだ疑っていた。
本当に、S級犯罪者なのか…?


「ああ、そうだわシアン。例のアレ、調べといたわよ」

何かを思い出したように口を開いたマゼンタは、シアン目掛けて数枚の書類をバシッと投げ突ける。シアンが綺麗に顔面でキャッチした書類には、例の新メンバー候補者のデータが載っていた。


「名前はハニー・プルミル。黄の国でも有名な天才ハッカーよ」

「頭脳派なのですか!それは実に新メンバーに相応しい…“碧”に欲しい人材なのです!」

「ハニーはただのハッカーやないで。医学面にも長けたハイスペック女や」

「おお…!」


かなりのハイスペックさに、シアンは感嘆する。そんな人材が仲間になれば、隠密行動に動きやすさが増す。まだ名の知れていない“碧”にとっては、好都合だ。

「それなら早速彼女をスカウトしに行きましょうか。明日にでも出発するのです!」

「……またアンタはどうしていつも急なのよ」

「あいつ今行方不明や言うたやろ。どこ行く気や」

「取り敢えず、まずは黄の国なのです!」

「ならオレは留守番やな。3人とも頑張りや〜」

サルファーのテキトーな態度にソレイユは怪訝そうな目を向けるが、その発言の内容にはっとする。…3人?

「ちょ、ちょっと待てよ!僕も行くの!?」

「当たり前でしょアンタ新人なんだし」

「えええ…」

年も一番下で、こき使われるのではないかとソレイユは不安になる。おそらくこの中でいちばん常識人であろうサルファーがいないとなると…最早考えたくもない。

「て、ていうか…何でサルファーさんは行かねぇの?」

「彼を黄の国に行かせると国民を殺し兼ねないので」

「はァ!?」

「アイツ、黄の国に相当な恨み持ってんのよ。アンタもそうなんじゃないの?」

「ま、まあ…」


確かに、何の理由も無しに国を出て行くなんてあり得ない。それにしても、さっきの発言を笑顔で言うシアンには相変わらずゾッとする。


「あの国はゴミや。住む価値なんか無い」

「なら私の母国の赤の国だってカスよ。特にあの長が気に入らないわ」

「じゃあシアンの青の国なんかう●こなのです」


世界三大国をう●こ扱いするシアンたちにソレイユは少し共感した。勿論、悪い人ばかりではない。寧ろ自分達が“悪”だ。
ていうか、『じゃあ』って何だ『じゃあ』って。


「あ!でも昨日、赤の国の人で素敵な男の子に会ったのです!」

「何よそれ。イケメンってこと?」

「イケメンでもありますけど、何よりヒーローである事が素敵なのです!」

「は…?」


マゼンタは訳が分からないといった顔をしたが、ソレイユは記憶の隅にあった、1人の男を思い出した。
赤髪のアイツ。“紅の修羅”だと勘違いしたほど、真っ赤な髪の少年。


「シグナルくんって言うんのですよ〜!」

「シグナル…?そいつまさか、シグナル・レッドか…?」

「おや?サルファーご存知なのです?」


サルファーはその名を聞いて衝撃を受けた。マゼンタも知っているようで、目を見開いている。

「シグナル・レッドゆーたら、赤の国四天王にして世界No. 1の戦士やんけ!!」

「四天王…?」

途中で出てきた知らないワードにソレイユが首を傾げる。マゼンタはそんな彼に呆れた視線を送った。

「何よクソガキ。アンタそんな事も知らないの?」

「ぼ、僕ガキじゃねぇし!」

「なーんにも知らないみたいだから、教育係として言わせてもらうわ」

反抗するソレイユを無視して、マゼンタは説明し始めた。


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