#02赤の迷走 F
「各国に4人ずつ…つまり、世界で合計12人。その中でも、赤の国は愚か世界中の四天王の中で最強と言われている戦士……それがシグナル・レッドよ」
ソレイユはその事実に驚愕した。あの時は彼の実力を測れた訳ではない。きっと、シアン程ではないものの彼も世界最強…只者ではないだろう。
「つーかお前、そんなヤツと会ってよう殺されへんかったなぁ」
「え?シアン彼に助けられましたよ?」
「え」
その発言にサルファーとマゼンタは固まる。シアンはそんな2人を気にも留めず続けた。
「なのでお礼に助けました!」
「ん……んん?」
「あ、でもソフトクリームに関しては許しません」
「ちょ、ちょお待て。何の話してんねんお前」
最初の2つはソレイユも何となく理解出来たが、最後は意味が分からなかった。何だソフトクリームって。
「んで、そのシグナルくんに例のメモを渡してきました!」
平然と言ってのけたシアンに、メモとは何だとソレイユは首を傾げる。対して沈黙したサルファーとマゼンタは、目も口も大きく開いていた。
「「はぁぁああ!?!?」」
「うわっ!?」
突然大声で叫び出した2人にソレイユの肩は大きく跳ねる。ソレイユはそのままシアンに問い詰める2人をハラハラしながら見た。
「アンタ何考えてんの!?あのメモは勧誘用にここの電話番号と住所と地図書いてんのよ!?」
「何犯罪者でもないヤツに渡しとんねんアホか!!!しかも四天王No. 1やぞ!?絶対利用されるであのメモ!!!」
「ええ〜?そんな事ないですよ〜シグナルくん優しいですし、ヒーローですし、そんな事しませんよ〜!!」
「そのヒーローが倒すのは誰やと思ってんねん!!!!!」
サルファーの言葉に、終始ニコニコしていたシアンはピタッと動きを止め真顔に戻った。
「あ」
「あ、やないわアホか!!!!」
「もうダメだわ…この組織も終わりよ……」
3人のやり取りを見て、ソレイユは改めて思った。
「(コイツら、本当にS級犯罪者なわけ…?)」
***
空が黒くなった頃、暗闇に浮かぶ満月は赤を照らしていた。赤い建物、赤い塔、そして自分の赤い髪。冷めた夜の風が白い頬を撫でた。
赤の国の長や四天王、戦士たちの拠点…赤の国の本部と言われる高層ビル。シグナルはその中にある休憩室で大きなガラス窓を開け、満点の星が散りばめる夜空を眺めていた。
右手に握っているのは、小さな紙切れ。朝空のように薄い水色の髪をした少女がくれた、危険な世界への架け糸。…それを辿って空遠へ行くかどうかは、自分次第。
彼女は何を思って、俺にこれをくれたのか。
あの日からずっと気になっていた事を、今もまた考える。シグナルとシアンは敵同士で、増してやこんな情報を交換して良い仲ではない。シグナルが長にこの紙切れの事を報告すれば、彼女たちの組織のアジトを掴める。 完全に、こちらが有利な状況だ。
そう考えていた時、扉からノック音が聞こえた。
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